2021 Fiscal Year Research-status Report
異時点間における消費者内の異質性を考慮した購買行動モデルの再考
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20K13611
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
野際 大介 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (90736125)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マーケティング・サイエンス / 潜在変数 / 隠れマルコフモデル / 購買履歴データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は消費者の個々人内における異時点間の異質性を考慮した購買行動モデルに関して、ID-POSデータといった自社で所有のデータを用いた分析によって再考し、異質性の変容について明らかにするという目的であった。昨年度で消費者内の異質性やその変容についての存在を確認し、その影響を測定する枠組みを提案することについて、若干遅れていた。当該年度では、その遷移をモデル化することで、異時点間に対する視点を考慮するフェーズであった。とりわけ、本研究の特徴である質問紙調査などを用いて消費者の態度を測定するといった手法でないことから、統計モデルの構築が課題であった。 実際には、外的要因としてセールスプロモーションのネットチラシとその利用態度について、時系列的な変容を統計モデル化した結果を提案し、研究について学会報告、論文投稿に至った。次年度で取り組むべき消費者間の異質性についても当該研究報告では考慮されており、研究成果を挙げられたと考えている。 一方で、実店舗としてスーパーマーケットとのID-POSデータ提供だけでなく、セールスプロモーションの効果測定などさまざまな操作可能な企業との提携も構築することができた。学術だけでなく、実務的な応用範囲の展開が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績にも記述したが、昨年度の研究の遅延をある程度解消し、その成果を日本マーケティング・サイエンス学会第109回研究大会の研究報告ならびに行動計量学(2022)第49巻に査読付き論文として掲載されたことが挙げられる。 とりわけ近年のデジタルマーケティングの特集号として、学術論文誌に掲載されたことは学術的だけなく実務的にも貢献があったと考えている。 また、次年度の研究課題に対し、当該論文誌にも一部取り込まれており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
課題としては、本研究報告や論文で異時点間の消費者内の遷移が一定なマルコフ連鎖に従っているという仮定が実情を鑑みると強すぎると考えられるので、こちらに関する緩和などの方策によって、消費者内の異質性をより表現できる統計モデル構築を考えていきたい。 また、ID-POSデータを取得し、実店舗においても操作可能な企業との提携を成功させた。特に実務的に応用可能な分析やモデル構築だけでなく、実験なども考慮にいれて仮説検証をできるような展開を想定している。
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Causes of Carryover |
学会の研究報告や打ち合わせなどで利用する予定であった旅費が、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からキャンセルになったり、オンライン開催となったりし、計上しなかったことが大きな要因である。また、別枠で得られた研究資金においても旅費の利用がなかったことから、備品などの計上に充てたため、予定していた費用の計上が大きく異なる結果となった。 今後は、統計モデルの推定がより複雑化してくることが容易に想定されるため、計算機環境を向上させるための資金として利用を想定している。また、近年の半導体不足の影響でメモリやCPU,GPUなどが高騰している。このことから、資金が予定より必要になることから、十分使用することができると考える。
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