2020 Fiscal Year Research-status Report
パッケージがどのように消費行動に影響を及ぼすのか:ダイエットの視点からの実証研究
Project/Area Number |
20K13613
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
河塚 悠 富山大学, 学術研究部社会科学系, 講師 (40847498)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | パッケージ / 消費量 / ダイエット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,パッケージの形態の違いが消費者の消費量に影響を及ぼすメカニズムを明らかにするものである。 先行研究では,パッケージの形態が消費者の製品消費量に影響を及ぼすことが明らかにされている。例えば,同一容量の食品を大きなパッケージから消費する場合と,小さな容量に分割した小さなパッケージから消費する場合では,前者の方が消費者の消費量は大きくなることが示されている。一方で,健康や美容,肥満の防止や解消のためにダイエットを実施している消費者においては,後者の場合の方が消費量は大きくなること(以下,Partitioning Paradox)が明らかになっている。しかし,先行研究ではPartitioning Paradoxが発生するメカニズムが明らかになっていない。そこで,本研究では,ダイエットを実施している消費者の消費量が,同一容量の食品を小さな容量に分割した小さなパッケージから消費した場合の方が大きなパッケージから消費した場合よりも大きくなるメカニズムを明らかにすることを目的とし,検証を行っている。 初年度にあたる令和2年度においては,まず既存文献レビューと概念モデルの構築を行い,次にプレ実験の実施とデータ解析に取り組むことを計画していた。既存文献レビューにおいては,消費者の消費量に影響を及ぼす要因やダイエットを実施している消費者と実施していない消費者の消費行動の違い,パッケージ・デザインが消費者行動に及ぼす影響を議論した文献を中心にレビューを行った。その内容をもとに,概念モデルの構築を行った。次のプレ実験の実施とデータ解析については,所属する研究機関において実験室実験を行い,実験手続きや質問紙調査の内容の妥当性などを検討した。そして,収集したデータの集計および統計分析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にあたる令和2年度は,既存文献レビューと概念モデルの構築を行い,次にプレ実験の実施とデータ解析を行うことを予定していた。これらを順調にすすめることができ,次年度の令和3年度の実験実施に向けた準備が整った。 おおむね順調に研究を進められているものの,現在2つの問題に直面している。1つは昨今の新型コロナウイルスの蔓延に伴い,当初想定していたよりも,目標とした実験参加者を集めることや,十分な実験期間を設けることが難しくなっていることである。本研究では,実験参加者に食品を提供し,その場で消費してもらう。そのため,参加者には実験室に来てもらい,実験室で食べてもらう必要がある。そのため,現在の状況下では,1回に行う実験参加者の人数を減らす必要があったり,感染状況によっては実験実施の見合わせや中止せざるを得ない事態が発生している。この点で,実験参加者を募集することや,目標とした実験参加者の人数を集めること,十分な実験期間を設けることに苦慮している。2つ目は当初想定していたよりも,ダイエットを実施している消費者のデータが集まっていないことである。本研究の目的は,ダイエットを実施している消費者の消費量が,同一容量の食品を小さな容量に分割した小さなパッケージから消費した場合の方が大きなパッケージから消費した場合よりも大きくなるメカニズムを明らかにすることである。そのため,ダイエットを実施している消費者の消費行動や消費量に関するデータの入手が不可欠である。ダイエットを実施している消費者がダイエットを実施していない消費者よりも少ないことを考慮したうえで,次年度以降は実験期間を十分に確保し,データ収集に尽力していく考えである。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は,初年度の計画の通りに順調に遂行されている。今後もペースを落とすことなく研究活動を実施し,研究成果を上げていきたい。 2年目の令和3年度の研究計画としては,初年度に引き続き実験を実施し,収集したデータをもとにデータ解析を行い,概念モデルの検証を進めていく。初年度同様,実験参加者の募集や実験実施機会の確保が困難な状況にあるが,初年度よりも幅広く実験参加者を募ったり,実験実施期間に余裕を持たせたりするなどして,実施したい。感染予防対策の徹底に取り組みながら,少しでも多く実験機会を設け,研究を進めていきたい。
|