2023 Fiscal Year Annual Research Report
小売企業における在庫リーンネスと企業業績の関係に関する実証的研究
Project/Area Number |
20K13620
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
鎌田 直矢 北星学園大学, 経済学部, 講師 (50756385)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 在庫リーンネス / 企業業績 / 小売企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
『経済産業省企業活動基本調査』の調査票 情報を利用し、小売企業の業績に及ぼす在庫リーンネスの効果について研究を実施した。具体的には、分析対象を食料品小売業と衣料品小売業に絞り、売上高利益率に及ぼす在庫リーンネ スの効果を個々に分析した。分析対象をこれらの業種に絞った理由は二つある。第 1 に、これら の業種では在庫が経済的な価値を持つ期間に制約があり、企業業績に及ぼす在庫リーンネスの効 果が顕著に現れると予測されたからである。第 2 に、これらの業種では、在庫リーンネスを高め ることに対する社会の要請が高いからである。というのは、これらの業種では、過剰在庫を原因 として発生する食品ロスや衣料品廃棄物が問題となっているからである。以上の理由から分析対 象とした二つの業種のうち、飲食料品小売業を対象とした研究からは次のことが明らかとなった。 まず、在庫リーンネスは企業の収益性に対して正の効果を持つこと、そして、その効果は ICT の 活用により正に調整されることが明らかとなった。また、衣料品小売業を対象とした研究からは次のことが明らかとなった。 飲食料品小売業の場合と同様に、在庫リーンネスは企業の収益性に対して正の効果を持つこと、 そして、その効果は ICT の活用により正に調整されることが明らかとなった。興味深いことに、 衣料品小売業においては、ICT 活用を伴わない場合、在庫リーンネスは収益性に影響を及ぼさないことも明らかとなった。このように2つの業種を対象と した研究に限られるが、小売企業の収益性に及ぼす在庫リーンネスの効果は、ICT 活用により多 大な影響を受ける可能性が示唆された。
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