2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K13623
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
古川 裕康 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (10756224)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境配慮型物質主義 / 消費者のグローバル化 / ラグジュアリー商品 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究においては,中国とインドにおいて環境配慮型物質主義者の影響が観測されたが,その傾向が顕著であったのは中国の消費者であった。そこで本年度の研究では中国と日本に焦点を当て,環境配慮型物質主義の発生メカニズムについて検証する事とした。なお分析対象は物質主義の傾向が発生しやすいとされているラグジュアリー商品に絞った。 検証の結果,消費者のグローバル意識が高く,環境への知識や重要性を認識している程,環境配慮型物質主義の傾向が高まり,最終的に環境・社会配慮型商品の消費に至る事が明らかになった。既存の調査によって,日本は社会環境を重視して行動する人々の割合が極めて低い事が示されている。この様な背景が,日本において環境配慮型物質主義が中国に比べて発生しづらい要因となっている事が考えられる。 ただし日本においては環境配慮型商品を自己実現に用いる事が出来る場合,環境配慮型物質主義の傾向が高まるという現象を確認した。この傾向は中国においては確認できなかった傾向である。純粋な利他ではなく,環境配慮型商品を用いた消費者が自分自身を表現する機会が日本においては重要である事が示唆される。 物質主義は大量生産・大量消費と結びつき,基本的に消費者のES配慮型商品消費を妨げる存在である。ただし消費者のグローバル意識が高まれば,環境配慮型物質主義という消費傾向も高まる事が示唆される。本研究でも確認された通り一人一人の環境や社会に対する深い理解は前提条件となる。これらの深い理解を身近な部分だけに留めるのではなく,世界的な視野で捉える事によって消費者のES配慮型商品に対する行動を変容させる事ができると考えられる。
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