2022 Fiscal Year Annual Research Report
価値共創における個人知活用の意義ー持続的幸福度との関連性ー
Project/Area Number |
20K13631
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
青木 慶 甲南大学, マネジメント創造学部, 准教授 (50761045)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 個人知 / シェアリングエコノミー / スキルシェア / ウェルビーイング / PERMA / ユーザーイノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、個人知を活用することの有用性を社会に提示し、価値共創のさらなる発展に寄与することであった。2020-2021年度にかけては、それまでに得られていた、スキルシェア参画者の持続的幸福度が有意に高いという定量的調査の結果に基づき、スキルシェア当事者(他者に自分の知識を共有している人)にデプスインタビューを行うことで、なぜスキルシェアを行うことが、ウェルビーイングの向上につながるのかについて追究した。その結果、他者に知識を共有することを通じて、自分自身の知識や体験がさらに深化し、次世代への知識の伝承も含めた、さらなる知の共有の循環が生まれていることが明らかになった。そして、そのプロセスにおいて、楽しさや、知的好奇心の充足、他者とのポジティブな関係性の構築など、ウェルビーイング(持続的幸福度)の向上に寄与する要素が派生していることが示された。 2022年度は、この結果が、報酬目的のスキルシェアの場合にも同様であるのかを確認するために、スキルシェア参画者1,000人(報酬目的400人、趣味目的600人)とコントロールグループ(スキルシェア非参画者)1,000人を対象に、定量的調査を実施した。その結果、報酬目的・趣味目的に関わらず、スキルシェア参画者の持続的幸福度が非参画者より有意に高いことが示された。そして、報酬目的のスキルシェア参画者と、それ以外の趣味などを目的とするスキルシェア参画者の比較では、持続的幸福度について両者の間に有意差はなく、モチベーションの比較では、報酬目的の人の方が、他者貢献への動機づけが有意に高いことが示された。 働き方が多様化し、リカレント教育やリスキリングなど大人の学びが政策的に進められるが、獲得した知識を活かすことで、人々のウェルビーイングが向上するという研究結果は、意義のあるものであると考えている。
|