2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13635
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉永 裕登 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40823141)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 集約利益 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度における本研究の主な研究成果は、一橋大学の中野誠教授との共著として日本経済新聞出版より刊行された『マクロ実証会計研究』である。本書は科研費課題である集約利益の情報有用性に関する近年の研究成果について取りまとめ、展望を記したものである。実証的会計研究では、主に個別企業の発表した会計情報を分析されてきた。しかし、個別企業の会計情報の平均や標準偏差をとることで、マクロ経済分野への貢献などの可能性を期待できる。そのため、本書は会計研究の可能性を拡張することに貢献するという意義があると考えられる。
また、近年、研究によるアウトリーチ活動の重要性が叫ばれている。こうしたなか、本書は大学院入学者レベルの方や実務家の方など、会計研究者の方以外にも理解して頂けるように可能な限り数式や専門用語を排して平易な言葉で記述している点、そして、会計研究の面白さが伝わるような記述を心がけているという点を特徴としている。こうした記述を行う研究書は極めて珍しいため、本書は集約利益や会計研究全般に対する一般の方々の関心を高めることに貢献していると考えている。
なお、本書は国内のジャーナルである『企業会計』、『証券アナリストジャーナル』、『産業経理』において、それぞれ異なるバックグラウンドを持つ方より様々な議論を内包した書評を3本頂いている。書評で頂いた指摘は今後の申請者の研究をさらに進展させるために重要な示唆を有しており、次年度における研究の進展に有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費課題である集約利益の情報有用性に関する研究を進展させることで、上述の研究書籍を出版することに成功しているため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、集約利益に関する情報有用性に関する研究をさらに進展させるために、様々な会計・ファイナンスの研究領域の知見に基づく研究を進めている。これらの研究を進展させることで、海外ジャーナルへの投稿・掲載を目指していく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の蔓延による状況の変化により海外学会への渡航および参加が難しくなったことで、次年度使用額が生じた。研究を進展させるためのデータ購入によって次年度使用額を使用していく予定である。
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[Book] マクロ実証会計研究2020
Author(s)
中野 誠、吉永 裕登
Total Pages
228
Publisher
日経BP 日本経済新聞出版本部
ISBN
978-4-532-13501-0