2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on the mechanism of the budgets as an effective control systems
Project/Area Number |
20K13648
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
桝谷 奎太 高千穂大学, 商学部, 准教授 (30845144)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 予算管理 / 業績管理 / 資本コスト経営 / 定量的研究 / フィールド調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初は,予算制度が効果的に機能する(しない)原理の解明を研究目的とし,「組織の情報環境や国の文化的環境により予算制度の使い方にどのような違いが生じるか」という問いに取り組む予定であった。しかしながら,COVID-19の影響により,4年間の研究期間の中核としていた日中企業の比較調査が実施できない可能性が高まってしまった。また,予定されていたフィールド調査を縮小せざる得なくなった。 そこで当初の研究計画を若干変更し,当該年度は次の2つの研究課題に取り組んだ。1つは,予算制度の使い方により効果に多様性が生じる関係の解明である。質問票調査により収集したデータに基づく分析の結果として,予算達成を目的としたコントロールという表層的な概念ではなく,その様態(行い方,質)に着目することで,多様な効果の発生原理が説明可能になることを発見した。その研究論文は,国内の査読付きジャーナルに掲載された。 もう1つは,日本企業における業績・予算管理の変化・変容に関する仮説導出的研究である。2009・2014・2019年に東証一部上場企業から収集した質問票調査データに基づく経時的な分析結果と他の実態調査結果に基づく解釈の結果,日本企業の業績・予算管理は,P/L中心の伝統的な管理を計数管理の強化という形で漸進的に強化するものであり,B/Sや資本効率性を重視した管理に主体的・革新的に変容しているとは言えないこと,中長期的な企業価値の向上というよりも短期的な財務業績向上を志向していることが示唆された。この研究成果は,国内学会で発表された。さらに,その研究成果に基づき,伝統的な予算・業績管理を資本コスト経営に転換するうえで企業が直面し得る課題を,複数の事例に基づき特定・分類する研究を行った。この研究では,管理会計研究として有望な研究課題の析出まで行っている。その成果は,研究論文としての公表が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響により,当初の研究計画の一部が実行困難になったが,文研調査と定量的研究の比重を上げ,フィールド調査を縮小して実行するなどして,一定の研究成果(研究論文の査読付き海外ジャーナルへの掲載,国内ジャーナルへの掲載,学会報告,企業向けの報告書の作成など)を収めることができた。フィールド調査においても,訪問先とは良好な協力関係を築けており,研究の障害にならないと考えられる。さらに,文献調査と定量的研究の比重を上げた効果として,次年度以降の研究課題が当初の計画よりも具体化された。その意味で,研究課題は,ほぼ計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021・2022年度においても,日中比較研究の実施は困難と予想される。そのため,研究期間の終わりを見据え研究計画を修正する必要がある。 具体的には,国内企業を対象とした調査の比重を上げ,可能な範囲でフィールド調査を進めること,業績・予算管理を高度化させる1つの方向である資本コスト経営を中核的な研究トピックスとすることを考えている。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により,当初の研究計画よりも企業訪問調査を実施できなかったため,旅費やテープ起こし代の予算額を消化できなかった。次年度使用額については,文献調査に用いる書籍代や企業訪問調査関連費用として併せて使用することを予定している。
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Research Products
(6 results)