2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the mechanism of the budgets as an effective control systems
Project/Area Number |
20K13648
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
桝谷 奎太 高千穂大学, 商学部, 准教授 (30845144)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 予算管理 / ROIC / 価値創造経営 / テンション / フィールド調査 / 日本企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,(1)ROIC(Return on Invested Capital)指標を新たに導入した企業を対象としたデータの収集・分析,(2)コントロール実践がパフォーマンスに影響を及ぼすメカニズムの解明を目的とした事例研究を実施した。これらは,予算制度が効果的に機能する原理の解明という本研究課題の目的に基づくものである。双方の研究は,定性的研究である。 (1)では,前年度までおこなってきたデータの収集と分析を継続し,次の二点において成果を生むことができた。第一に,強い現場に対する本社経理部門の配慮や全員参加といった特性が,会計数値の強調による組織統合を抑制につながる一方,文化を活用したソフトなコントロールに関連することを明らかにした。これは,全員参加型経営という日本的な組織コンテクストの影響が大きい一社を対象とした事例研究による。第二に,調査サイトによってROICの中心性に相違が生じる原因についての仮説を帰納的に構築した。これは,比較事例研究による。 (2)では,テンションが組織の異なるレベルで顕在化するので,コントロール実践の構築においてはテンションを多元的に認識する必要があること,テンションは不安定な性質を帯びるので,通時的な注意が必要であることを明らかにした。この結果も,経年的な事例研究による。 以上のように,コントロール実践が優れたパフォーマンスにつながる原理について,メカニズムやコンティンジェンシーの特定による説明に成功した。COVID-19の影響により,当初の研究計画の実施は困難になったものの,代替的な計画を策定・実行し,一定の成果を生むことができた。
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