2022 Fiscal Year Research-status Report
The influence of management ability on cost of equity
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20K13651
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| Research Institution | Meiji University |
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Principal Investigator |
平屋 伸洋 明治大学, 経営学部, 専任講師 (50715224)
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2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 経営者能力 / MAスコア / MA Score / Managirial ability score / 業績予想の精度 / 業績モメンタム |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では，MA Scoreが資本コストに与える影響について理論的かつ実証的に分析する。MA Scoreとは，Demerjian,et al. (2012)が提示した 経営者・経営陣の能力を定量的に測定する概念であり，米国を中心にあらゆる社会科学の領域で用いられている。本研究では，MA Scoreが高い企業ほど資本コストが低くなるというリサーチ・クエスチョンを研究課題と位置づけ，これを明らかにするために3つの検討課題を設定した。
令和４年度に取り上げた検討課題「MA Scoreと業績予想の精度の関連性」では，MA Scoreと業績予想の精度の関連性を明らかにした。また経営者能力を捕捉する新たな概念として業績モメンタムを取り上げ，その可能性について理論的に考察した。なお，これらの研究成果については，日本管理会計学会2022年度年次全国大会の自由論題（管理会計における業績モメンタムの可能性）にて報告している。また，その研究成果については「業績モメンタムの時系列特性－ソニーグループ株式会社のリストラクチャリングに関する事例研究－」『政経論叢』（第91巻第3・4号，81-109ページ）に投稿している。
調査の結果，業績モメンタムは従来のパフォーマンス指標と異なる情報を提供する可能性が確認された。またリストラクチャリングによる業績モメンタムの向上がパフォーマンスに貢献する可能性も示唆された。以上のことから，業績モメンタムを適切にマネジメントすることが企業の持続的成長ひいては経済全体の成長に資するというのが本研究の結論である。またインプリケーションとして，MA Scoreの測定誤差を業績モメンタムによって克服し，代替することが可能ではないかと考えている。こうした新たな視点を取り入れながら，MA Scoreと業績予想の精度の関係性について追加的検証を行い，その結果を論文に反映させたい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題の達成度についてであるが，申請者はやや遅れていると評価している。50％程度は目標達成しているが研究成果の発信に遅れが出ている。具体的には，コロナ禍のために当初予定していた学会での研究報告を実施することができなかった点と，その内容をまとめた投稿論文の作成が遅れている点である。そのため，本年度は補助事業期間の延長を申請し承認をいただいた。前述した遅れを取り戻し，次の3点に注力して研究を遂行する。
まずは，経営者能力（MA Score）と利益マネジメント，資本コスト，業績予想の精度の関係を包括的に検証し，その関連性を明らかにする。そして研究成果を投稿論文に反映させたい。
次に，MA Scoreを業績モメンタムによって代替することで，前述の包括的な関連性に違いがみられるかどうかを検証する。これまでの研究成果から予想すると，両者には大きな違いがみられないのではないという仮説をもっている。こちらの研究成果も別の投稿論文に投稿する予定である。
最後に，MA Scoreに対する理論的考察がまだ不十分であり，とくにMA Scoreと業績モメンタムの関係を説明する必要がある。学会報告では上位階層理論（Upper Echelon Theory）やトップマネジメントチーム（TMT; Bourgeois,1980）といった組織論を基礎として議論を展開した。それらと業績モメンタムの関係については，近接する研究領域の知見を改めて整理する必要がある。
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| Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】では残された3つの課題について説明した。それを踏まえたうえで，ここでは令和５年度に実施する研究の具体的な推進方策について説明したい。
ひとつは，MA Scoreと利益マネジメント，資本コスト，業績予想の精度の関係を包括的に検証し，その関連性を明らかにすることである。MA Scoreと利益マネジメント，資本コスト，業績予想の精度のそれぞれとの関係性については本研究において明らかにされている。また，業績予想の精度と資本コストの関係については先行研究において指摘がなされている（村宮, 2005）。こうした点を考慮し，包括的な因果構造を明らかにして投稿論文としてまとめたい。
次に，MA Scoreを業績モメンタムによって代替することで，前述の包括的な関連性に違いがみられるかどうかを検証することである。これまでの研究では，MA Scoreと業績モメンタムには相関が確認されている。そのため，どちらの指標を用いて包括的な関連性に大きな違いはみなれないのではないが，どちらの指標がより有用であるかを確認することができると予想する。こちらの研究成果も別の投稿論文に投稿する予定である。
最後に，MA Scoreに対する理論的考察をさらに深める必要がある。とりわけ，MA Scoreと業績モメンタムの関係を理論的に説明しなければならない。上位階層理論やトップマネジメントチームといった組織論を基礎とした議論展開のみならず，企業業績や業績モメンタムの時系列特性についても明らかにしながら，こうした研究領域の知見を改めて整理する必要がある。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由について，当初の研究計画書では各年度で開催予定であった国内外の学会に参加・報告を予定していた。しかしながら，新型コロナウイルス感染症の影響により，オンラインにより開催された一部の学会を除き，多くの学会で年次大会等が中止または延期となってしまった。そのため，外国旅費として計上していた研究費と，その他の海外学会参加費として計上していた研究費を支出することができなかったためである。
次年度は補助事業期間の延長を認めていただいた年度であるため，次年度使用額とされる956,004円については，データベース費用，海外ジャーナルへの投稿に係る費用（英文翻訳費用，論文校正費用，投稿料など），インタビュー用の撮影機器購入費といった支出に充当する予定である。
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