2020 Fiscal Year Research-status Report
個人投資家志向型企業による企業情報開示に関する理論的・実証的研究
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20K13657
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
酒井 絢美 立命館大学, 食マネジメント学部, 准教授 (00735293)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 株主優待 / 個人投資家 / 株主構造 / 企業情報開示 / コーポレートガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,個人投資家を重視する姿勢をとる企業(個人投資家志向型企業と呼ぶ)に焦点を当て,当該企業の企業情報開示と特定の投資家層への偏重との関係性について検討するものである。近年では企業情報開示の拡充や企業の開示姿勢に対する社会的関心が高まっており,日本版スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードが策定された現在,投資家の属性ごとの企業情報開示に関してはまさに変革期にあるといえる。個人投資家の増加を期待して企業が行う施策の1つとして,株主優待制度が挙げられる。そこで本研究においては,まず株主優待の実施が個人投資家を重視する企業の姿勢を表していることを丁寧に議論した上で理論的に導出した上で,個人投資家志向型か否かという企業の姿勢が企業情報開示に与える影響を分析することとした。 研究計画に基づき,本年度においては特に先行研究の渉猟を実施した。先行研究のサーベイにあたっては,Huang et al. [2016],Karpoff et al. [2018],Kok and Nel [2019]といった諸外国の文献のほか,Suzuki [2015],Serita [2017]といった日本の文献も確認し,株主構造や資本コスト等に対して株主優待制度が与える影響について整理を行った。当該結果は,「株主優待は企業にメリットをもたらすか?」(『企業会計』第72巻第8号,pp.6-7.)にて取り纏めている。 なお,本年度2月1日より,研究代表者の出産に伴い,「産前産後の休暇又は育児休業の取得」のため本研究を中断している(研究中断期間:2021年2月1日~2022年1月31予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言等の影響により,本年度上半期においては大学内施設が十分に利用できず,文献の調査が極めて困難であった。そのため先行研究の渉猟が不十分なものとならざるを得ず,規制当局等の公表資料についても,オンライン上で入手可能なものだけを取り扱うことを余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り,本年度2月1日より,研究代表者の出産に伴い「産前産後の休暇又は育児休業の取得」のため本研究を中断しており,2022年度以降の適切な時期に研究を再開する予定である。研究再開後は,まず2022年度において,先行研究の渉猟から改めて実施することを予定している。具体的には,先行研究での議論のみならず,規制当局等の公表資料を用いて,会社法上の論点にも言及しつつ,理論的検討を行う。 当該理論研究を行ったうえで,2023年度では,実証研究及び事例研究を試みる。実証研究にあたっては現在作成中であるデータベースを使用することを計画している。また,事例研究にあたっては企業のIR担当者に対するヒアリング調査およびインタビュー調査を予定していたが,新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては対面ではなくオンラインによるインタビューの実施や代替可能な資料の収集に変更する可能性がある。 なお,状況次第では,上記の研究について産前産後休暇及び育児休業に伴う研究期間延長申請を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言等の影響により,本年度上半期において文献の調査およびインタビュー調査が極めて困難であったため,また,2021年2月1日より妊娠・出産に研究代表者の出産に伴い「産前産後の休暇又は育児休業の取得」のため本研究を中断したため,次年度使用額が発生した。 次年度以降の使用計画については,まず,「産前産後の休暇又は育児休業の取得」のための研究中断に関して,2022年度以降の適切な時期に研究を再開する予定である。研究再開後は,2022年度に先行研究の渉猟から改めて実施し理論的検討を行うことから,書籍・雑誌等の文献およびPC関連機器の購入を計画している。また,調査や学会発表,研究会への参加等に伴う旅費や参加費・研究成果発表費用等の諸費用も生ずる予定である。2023年度以降にも研究・情報環境維持のために必要な消耗品費,調査や発表のための旅費および参加費・研究成果発表費用等の諸費用が生ずる予定であるが,新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては対面ではなくオンラインによる学会・研究会の開催や代替可能な資料の収集に変更する可能性がある。 なお,状況次第では,上記の研究について産前産後休暇及び育児休業に伴う研究期間延長申請を行う予定である。
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