2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K13662
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
河瀬 豊 神戸学院大学, 経営学部, 講師 (60805604)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 税務計画 / 組織再編成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は主に(1)わが国の税制のもとでの組織再編成税制のフレームワーク構築、(2)M&Aに関するデータベースの構築に取り組んだ。 (1)について、課税対象となる企業買収についての分析枠組みをまとめ、ワーキングペーパーとして公表した。課税対象となる企業買収を行うとき、事業譲渡と株式売却の税引後キャッシュ・フローをモデル化し、税負担の側面から,事業譲渡と株式売却が売り手にとって無差別になる条件を示した。株式会社の課税される買収については、わが国では、会社を解散するときに譲渡所得課税だけでなく、みなし配当課税されることもあり単純な制度ではない。税引後キャッシュ・フローをモデル化するには、いくつかの変数を場合分けすることもあり、Scholes and Wolfsonのモデルに比べるとかなり複雑になる。そのため、企業買収時に頻出するであろうパターンについてモデル化し、滅多に起きないであろうパターンは捨象した。他の組織再編成スキームについてもモデル化している途中であるが、まだ論文にしていない。次年度に様々なスキームの税引後キャッシュ・フローをモデル化し、この分野のフレームワークを完成させたい。この研究は今後の研究と併せることによって、組織再編成の実証分析やスキームの選定に利用することができるだろう。 (2)については、M&Aデータベースから分析に必要なデータをダウンロードした。実証分析に必要な形式にするために前処理中である。次年度はこれに財務データを追加して、独自の組織再編成データベースを完成させたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データベース会社の規約変更により、データの利用や保存方法に新たな制限が加えられ、分析手法に関するアイデアを一部変更せざるを得なくなり、データの保全にも手間とコストがかかることになった。 また、独自のデータベースを構築するためにアルバイトを雇う予定であったが、新型コロナウイルス禍による緊急事態宣言やまん延防止措置により、それもできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)フレームワークの構築については、課税される企業買収以外のスキームについてもフレームワーク構築を進める。(2)については、入手した組織再編に関するデータに必要な財務データを追加し、実証分析を行いたい。
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Causes of Carryover |
特に理由はないが、この程度は誤差だと思われる。最終年度にはできる限り全額使い切る予定である。
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