2023 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における美術制度と都市空間の変容に関する研究:内国勧業博覧会を事例として
Project/Area Number |
20K13666
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
逢坂 裕紀子 国際大学, GLOCOM, 研究員(移行) (80864602)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化社会学 / 博覧会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代の日本において内国勧業博覧会を契機として美術工芸関係者や関連産業がどのような移動と集中の現象をみせたのか、そして美術と地域に関して、いかなる歴史叙述が生産されてきたのかを分析することを目的とする。研究の地理的対象は、第1回から第3回の内国勧業博覧会開催地であった東京と、第4回開催地である京都、そして第5回開催地だった大阪としている。 2023年度は以前より継続してきた、第1回から第3回までの内国勧業博覧会開催地である東京・上野でのフィールドワークによって得られた画像資料や文書資料の調査、聞き取り調査を継続し、ウェブサイト「しのばず和文化プロジェクト」(https://shinobazu-wa.com/)にコンテンツを追加した。同ウェブサイトでは、美術工芸とその関連産業とともに発展してきた地域の歴史・文化を紹介するコンテンツを提供し、研究成果の社会的還元を行なっている。 また、当初2021年度に予定していながら新型コロナウイルス感染症によって渡航を延期していた米国ニューヨークでの現地調査を実施した。ニューヨークは、1853年に米国初の万国博覧会が開かれた場所であり、その後も1939年、1964年に万博開催地となった。1939年開催時のパビリオンは一部現存し、美術館として活用されている。また、過去の博覧会に関する歴史資料は、市内の文書館や図書館に所蔵されている。本出張では、これらのMLA(博物館・図書館・文書館)の所蔵資料や遺物の活用について、実地調査を行い、歴史資料および遺物が現在の地域文化振興や観光資源化において、どのように活用されているか具体的事例を明らかにした。現地調査で得られた知見は、科学研究費助成事業報告書に盛り込むほか、学会発表や論文発表を通じて成果を報告する。
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