2022 Fiscal Year Research-status Report
Resisting the matrix of domination : French descendants of postcolonial migrants in search of coalitions
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20K13667
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
田邊 佳美 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (40869880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 移民 / マイノリティ / 女性 / フランス / インターセクショナリティ / 反レイシズム / 連帯 / 知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フランスにおける旧植民地出身移民とその子孫が、多様なアクターの集まる社会運動の空間で「連合(政治的な連帯)」を実現する可能性/非可能性を明らかにすることを当初の目的とした。しかし、2020年来の新型コロナ感染症の流行下で、現地調査を行わずとも研究可能な課題として、「マイノリティ化された知をめぐる抵抗」の分析を副次的な研究目的の一つに据えた。 第3年度となる2022年度は、夏期に現地調査を再開させる予定だったが、研究者自身が7月末から8月初旬にかけて新型コロナ感染症に罹患し、体調が即時回復しなかったため夏期調査を見送った。結果的に、同年度の前半から半ばにかけては、過去に収集した本研究の調査地のデータを改めて分析し、理論的に精緻化する作業や、オンラインでの資料収集・調査・研究交流を実施した。その成果として、「サバルタン・マイノリティ集団・政治的連帯――仏・旧植民地出身女性を中心とする対抗的公共圏の戦術」に関わる研究報告(2022年6 月)と論文刊行(2023年3月)に至った。論文では、旧植民地出身女性を中心とした運動空間での差異を前提とした連帯の戦術とそれが作り出す対抗的秩序の様相を明らかにした。 また、2023年3月に実現した現地調査からは、当初調査のフィールドとして想定していた市民団体が、新型コロナ感染症の影響を受けて、ほぼ解体状態にあることが明らかになった。そこで、初年度から副次的研究課題としてきた「マイノリティ化された知をめぐる抵抗」を主要な研究課題に設定し直し、「人種」と「インターセクショナリティ」概念をめぐるフランスの学問的・政治的状況の把握に努め、研究者や運動家へのインフォーマルな聞き取りと、パリ第8大学・LEGS研究所メンバーとの共同研究を行った。その結果として、今後の聞き取り調査につながる情報や資料の収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画で予定した現地調査に基づいた研究に関して、研究者自身の新型コロナウィルス感染症への罹患により2022年度の夏期調査実施が不可能となったことと、研究開始から約3年ぶりに実現した現地調査により、当初調査を予定した市民団体が解体状態に陥り、調査の遂行が不可能となっていることが判明したため、過去2年半にわたる現地渡航の不可能期間における遅れを取り戻すには至らなかった。 また、過去3年間にわたり、新型コロナウィルスによる影響が見通せないなかで、現地調査のための渡航の可否の判断が難しく、研究計画を全面的に変更するかどうかの判断も同様に難しかった。そのため、当初の研究・調査目標とは別に新たな研究目標を追加したものの、その両者に取り組むなかで不可避的に研究に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度末の調査からは、調査の継続を予定していた市民団体が感染症の影響を受けて活動を停止してから3年が経過した状態で、団体のメンバーの積極的かつ集合的な参加を想定した当初の調査計画に基づく研究計画の遂行が困難であることが明確となった。そこで2023年度は、当初の研究課題に加えて副次的な課題としてきた「マイノリティ化された知をめぐる抵抗」の研究へと軸足を移し、聞き取り調査に基づいた研究を継続したい。とりわけ、「人種」や「インターセクショナリティ」概念を積極的に用いて、マイノリティ化された知の担い手となってきた研究者や運動家に対して聞き取り調査を実施したい。また、これらの概念をめぐるフランスの学問的・政治的状況の分析においては、研究協力者との対話から考察を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症罹患のため、夏期に長期海外調査を実施できず、旅費の支出が少なかったため差額が生じた。長期調査を実施できない代わりに、修正・追加した研究課題に関わる分析を進めるための文献資料を購入したため、当初計画よりも物品費の支出が増えたが、それでも当初予定していた支出額合計よりも少ない額となった。2023年度は夏期および冬期の二度に渡り調査を実施できると見込み、旅費の支出を想定している。
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