2022 Fiscal Year Annual Research Report
女性管理職はいかにして育つのか:職場環境・家族関係・リーダーシップ教育からの検討
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20K13668
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岡村 利恵 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 特任講師 (30826607)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リーダーシップ / ジェンダー / リーダーシップ教育 / 女性管理職 / 家族関係 / 高等教育 / ワーク・ライフ・バランス / 社会関係資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の大手企業に勤める女性管理職及び将来の管理職候補から回答を得たデータを利用し、国内ではその数が非常に限られる女性管理職の基礎的理解に資する知見が得られるよう、リーダーシップとその関連項目について多角的分析を行った。その結果、以下の事柄が明らかとなった。
1)現在管理職として登用されている女性は入社時に必ずしも総合職として採用されていない。2)役職は持つが部下や評価権限を持たない女性管理職が一定数見受けられた。3)子どもの有無が仕事へのモチベーションに有意な影響を与えていない。ただし、分析したデータに選択バイアスが生じている可能性は否定できない。4)管理職であっても家事や育児の外部化は進んでいない。子育てを主に担っているのは女性とその配偶者であり、諸外国に見られるようなヘルパーやシッター、夫婦の親以外の親族によるサポートはほとんど見られなかった。5)子どもを持つ女性管理職のワーク・ライフ・コンフリクトとして顕著であったのは子どもの教育に関してであり、これは教育の再生産の観点から自身の高い教育達成が関連していると考えられる。6)女性管理職の有配偶、有子割合は収集したデータに関しては約5割であり、男性管理職の一般的データと比較すると、子育てや結婚などのライフイベントと管理職への登用がトレードオフの関係にある可能性が示唆された。7)大学生のときにリーダーシップを学んだと回答する人の割合は約2割であり、またリーダーシップ教育の経験の有無が伝統的リーダーシップ観に有意な影響を与えていないことが明らかとなった。8)役職が上がるほどリーダーシップは生得的であるという考えは弱まることが明らかになった。9)回答した女性管理職及びその候補者は総じて自らのコンピテンシーを比較的高く評価しており、特に組織的行動や傾聴力、自己管理といった項目に自己評価が高かった。
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Remarks |
所属先が主催した国際シンポジウム「『ガラスの崖』をよじ登る:「ガラスの天井」の先にあるもうひとつの見えない障壁」でコメンテーターとして登壇した。
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