2021 Fiscal Year Research-status Report
高学歴女性のキャリア形成と家事・ケア労働に関する現代史的研究
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20K13669
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
跡部 千慧 立教大学, コミュニティ福祉学部, 助教 (70780823)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 女性労働史 / 高学歴女性のキャリア / ケア労働 / 労働-生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生産領域やインフォーマルセクターも視野に入れ、高学歴女性のキャリア継続の課題を、小学校教員を対象とした歴史的事例から考察する本研究では、当初たてた研究計画の一部を変更しつつ、おおむね令和3年度に必要な作業を終えることができた。 (1)まず女性労働史研究の方法論の検討を進め、今年度の課題であったケア労働研究の知見をさらに織り込んだ文献サーベイを進める過程で、新たな視点を見いだすことができた。また国際ジェンダー学会(令和3年10月8日~9日、オンライン)に参加し、ジェンダー研究やジェンダーと教育研究の専門家との議論を通じて、方法論を検討する上で有益な示唆を得た。 (2)インタビュー調査に関しては、高齢期に達する調査対象者の方々への調査を基軸としているため、コロナ禍において大きな困難にぶつからざるをえなかった。Webインタビューも模索したが、対象者の協力を得ることが難しく、令和3年度のインタビュー調査自体を断念し、資料収集に徹することにした。平成29年度~令和元年度科学研究費基金・若手研究(B)「高学歴既婚女性のキャリア展望に関する現代史的研究」によって元小学校教員から提供された資料を読み込むとともに、調査対象地域の図書館に出向き、当時の子どもたちが書き残した作文、卒業文集などから、児童と教員との関係や、教員と児童の保護者との関係を探り出した。また、家政婦協会の資料を収集することによって、家政婦の歴史を描き出し、本研究で対象とした小学校教員の事例との関連を探っている。 当初の予定と異なるものの、国際ジェンダー学会大会での議論をもとに、方法論を検討し、史資料分析を進めている。この分析結果を令和4年度に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の課題であったケア労働研究の知見をさらに織り込んだ文献サーベイを進め、国際ジェンダー学会で報告することができた。 インタビュー調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を避けられなかったものの、新たな資料を収集し、史資料分析をもとに、当初の研究課題にアプローチすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)すでに収集した資料をもとに、本研究で対象とする小学校教員の事例と、家事労働者との歴史的連関を探っていく。 (2)引き続き、インタビュー対象者とのコンタクトをとり、新型コロナウイルス感染症の感染状況をみながら、追加のインタビュー調査の可能性を探る。 (3)令和3年度にもあたっているが、女性労働政策や、教育政策、女性学校管理職研究の知見と比較することによって、包括的に戦後の女性教員のキャリアを位置づけていく。
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Causes of Carryover |
適正かつ経済的な執行に努めた結果、残額が生じた。次年度は残額を合わせ、図書購入、資料収集等に使用する予定である。
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