2020 Fiscal Year Research-status Report
Institutional policy study of cooperative sports club as an effective hub of social business network.
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20K13680
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
張 寿山 明治大学, 研究・知財戦略機構(和泉), 研究推進員 (30838173)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スポーツ組織論 / 社会的企業 / スポーツクラブ / 公論の形成 / 社会関係資本 / 新制度派経済学 / 企業所有論 / スポーツアソシエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年来の世界的なコロナのパンデミック状況により、予定していた現地調査を行う事が出来ず、文献研究を中心とした活動を行った。 研究費助成以前より取り組んでいた協同組合型事業組織とスポーツ組織の親和性に関する以下の論文が原著論文として『年報体育社会学』の創刊号に採用され、早期公開でのアクセス数も上位にランクされ、そして国際的な研究者の実績紹介サイトであるResearchGateにおいても200件近いアクセス数をカウントしており、多くの研究者から関心が寄せられていることが確認されている。 調査活動ができない中、文献研究として、経済学及び経営学の成果をスポーツ組織研究に適用することを意識し、従来のスポーツ組織研究のほとんどが新古典派経済学の市場における需要と供給という観点に基づい定る事が確認された。事業組織の内部的要因について分析を特徴とする新制度派経済学の視点は、スポーツ組織研究にほとんど持ち込まれておらず、この視点を適用することで何が明らかになるかを考察し、2021年2月の第30回日本スポーツ社会学会にて「スポーツ事業に適した組織制度に関する考察:組織所有からみたスポーツ組織の基本機能」と題した発表を行なった、さらに、この内容を発展させた論文を作成、学会誌に投稿し、現在査読を受けている。 現地調査が可能となるまでは、経済学・経営学的観点からの研究テーマに対する文献的アプローチを深め、その内容も踏まえて現地調査の計画も見直していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画においては、ヨーロッパ諸国のスポーツクラブ、中間団体、政府機構への聞き取り調査を主な活動計画としていたが、世界的なコロナのパンデミック発生により、現地調査が不可能となっている。代替手段として、ウエブ会議を設定し、情報収集をすることも検討したが、相手国側の感染状況が芳しくないこともあり、実現していない。また、実際の活動状況を確認することも本研究の重要な要素であり、この点にどう対応するか、コロナの感染状況の沈静化を待って、研究計画の見直しを行うことを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
協同組合に関する文献研究を進める中で、ヨーロッパにおけるスポーツ団体が、歴史的に参加者の自治自立の原則を重要とするアソシエーションとして成立・発展してきたことが確認され、イングランドを起源とする協同組合もアソシエーション型組織のひとつであるという全体像がつかめてきた。従って、ドイツにおけるフェライン、スペインにおけるソシオといった組織も、スポーツ組織としてのみ捉えるのではなく、アソシエーション組織のひとつとしてとらえ、協同組合と同じ類型の組織モデルとして見ていくことが必要との認識を深めている。従って、調査研究の対象としては、各国におけるスポーツクラブに限らず、アソシエーション型の市民活動団体の全体像の中で、スポーツ活動とその他の活動がそれぞれどのように制度によって支えられているのかを見ていくことを考えている。 コロナにより調査研究を行える時期、訪問先、訪問国が今後も限られると想定される。訪問が可能となった国・地域を中心に、スポーツクラブに限らず幅広い対象に対する調査活動をする方向で、計画を見直していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
世界的なコロナのパンデミック発生により、旅行制限、移動制限、そして訪問予定先も受け入れ不可となり、予定していたイングランド及びドイツでの現地調査を行えなかった。 この状況は今年度も継続すると思われる。また、旅行制限解除後も、飛行機運賃を中心に、従来想定していた予算とは大幅に経費が異なってくることが想定されている。 パンデミックの状況をみながら、調査訪問の内容を見直し、初期に想定した成果が得られるように研究計画を修正していきたいと考えている。現時点(2021年5月)でも、2021年度中の調査活動再開は難しいと想定され、当面は文献調査及び国内における調査活動が中心になると想定している。
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