2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K13695
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
仲 修平 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (60732401)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自営業 / フリーランス / 社会調査 / コロナ禍 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実施状況は,学術論文等(2本),分担執筆による書籍(2冊),講演・口頭発表等(4本)の成果を挙げたことである.採択4年目は,2020年度と2022年度に実施した社会調査に基づいて研究成果の発信に重点を置いて活動した.以下,主な研究実施状況を報告する. 【1】「コロナ禍を経た自営業層の行方──個人収入と生活状況に対する認識に着目して」(『社会学評論』,2023年)は,コロナ禍の拡大期と収束期において,脆弱な階層に及ぼした影響がその内部でどのように異なるのかを検討した.具体的には,就業形態や職業と学歴の違いが個人収入や生活状況にどのような影響を与えているかを,2021年と2023年に実施したインターネット調査に基づいて分析した.分析結果は,自営業層は特定の条件を満たす人々以外にとっては難しい働き方の選択肢になりうることを示唆している.【2】「自営業者の福祉国家への支持はコロナ禍を経て変化したのか?──東大社研若年・壮年パネルデータの分析から」(東京大学社会科学研究所パネル調査プロジェクト・ディスカッション ペーパーシリーズ,2024年5月刊行予定)は,コロナ禍前後において,所得格差の是正や自助努力への支持が正規雇用労働者に比べて自営業者で変化していたのかを,東大社研パネル調査を用いて検討した.個人事業主と雇人のいる自営業主の福祉国家の役割に対する支持は他の就業形態(正規雇用,非正規雇用,無職)と比べて変化がより大きくなっていた.ただし,個人事業主と自営業主の変化の方向性は異なっている点に特徴があることを明らかにした.これらの研究知見は近年注目を集めているフリーランスの働き方を捉える基礎的な研究として位置づけられる. なお,本科研費による研究成果は,2025年に単著として刊行する予定である(仮題『自営業・フリーランスという生き方──現代日本の働き方を問い直す』.
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