2022 Fiscal Year Research-status Report
献血者の贈与と共同性の論理に関する福祉社会学的実証研究
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20K13700
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉武 由彩 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (70758276)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 献血 / 贈与 / 共同性 / 匿名 / 社会的連帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年の献血者数の減少を背景に、献血者における贈与と共同性の論理について実証的に研究することを目的とするものである。さらに、献血行為の実証研究を通して、匿名他者との連帯形成のための要件についても検討することを目的としている。2022年度の研究実績の概要は以下の通りである。 第1に、献血者への聞き取り調査のデータをもとに、どのようにして献血を重ねるようになったのか、生活史の観点から分析を行った。献血者の生活史分析については、書籍の一章分として発表した(『社会の変容と暮らしの再生 シリーズ生活構造の社会学2』「献血者の生活史からみえてくるもの――匿名他者への贈与の生成過程」)。 第2に、献血とは匿名他者への贈与行為であることから、匿名性、贈与に関する先行研究を整理し、概念的な検討を進めるとともに、これまでの献血に関する実証研究をとりまとめて書籍として刊行した(『匿名他者への贈与と想像力の社会学――献血をボランタリー行為として読み解く』)。 第3に、来年度実施予定の量的調査に向けて、献血やボランタリー行為に関する既存の量的調査研究の整理と質問項目の検討を行った。こうした検討に基づき、来年度量的調査を実施予定である。 第4に、文献等の整理を行い、日本における血液事業の歴史や輸血によるウイルス感染の問題、ウイルス検出・除去技術についてまとめた。上記の内容は来年度書籍として刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、献血者の生活史分析を行い、書籍を刊行した。加えて、これまでの献血に関する実証研究をとりまとめるとともに、献血を匿名他者への贈与行為という観点から分析し、書籍として刊行した。上記のように研究を進めており、その成果を公表している。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、第1に、献血だけでなく、同様に匿名他者への贈与行為とみなすことができる諸行為について文献検討や調査を行う。その中で、匿名他者への贈与行為の中でも、献血の特徴を検討する。第2に、献血やボランタリー行為に関する量的調査を実施する。献血に関する既存の量的調査が少ないことから、本研究において実施し、献血の規定要因や献血者の意識構造の分析を行うことを予定している。加えて、量的調査においては、献血がほかのボランタリー行為とどのような点が異なるのか、分析を行う。
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Causes of Carryover |
当初は3年目である2022年度に献血やボランタリー行為に関する量的調査をすることを考えていた。しかし、献血に関する質的研究や、理論的検討を先に2022年度に行うことにして、量的調査は4年目である2023年度に実施することにした。このように、研究の実施の順番を入れ替えたために、量的調査の費用を次年度に繰り越すことにした。
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