2020 Fiscal Year Research-status Report
在日コリアンの幼少期における出自を知る出来事の検討
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20K13704
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
尹 成秀 帝京大学, 文学部, 助教 (70793793)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 在日コリアン青年 / 出自 / 出自を知る出来事 / 出自の差異をめぐる葛藤 |
Outline of Annual Research Achievements |
民族的マイノリティである在日コリアンの研究においては,特に青年期の民族的アイデンティティに注目がなされてきた。しかし,近年の在日コリアン青年の対人関係に関する研究では,彼らの幼少期にも着目する必要性が示唆されている。本研究は,在日コリアンが幼少期に出自を知った際の情緒的体験と意味づけを明らかすることを目的とする。そのため,在日コリアン青年を対象に質問紙調査を行い“出自を知る出来事”の実態を明らかにした上で,特に幼少期における“出自を知る出来事”についてインタビュー調査を行い,プロセス・モデルを生成し検討を行う。 本年度は、本研究の計画に従って、在日コリアンの“出自を知る出来事”の実態を明らかにするために質問紙調査研究を行った。質問紙調査は,民族学校出身の在日コリアン青年を対象に実施した。出自を認識する時期,出来事,体験について検討を行い,さらに出来事の内容と体験の仕方の関連について明らかにした。自由記述の分析の結果、出自を認識した出来事として,“民族教育での体験・学び”,”家庭内の民族文化”,“日本人の子との差異”,”その他”が見いだされた。そして,“日本人の子との差異”が出自を認識する出来事であった場合に,その出来事をネガティブな体験として経験している者が多く,このような原体験を有する者の場合,後年の対人関係において相手との差異に一層敏感になる可能性が考えられた。 以上の結果をふまえ,在日コリアン青年の対人関係における“出自の差異をめぐる葛藤”について検討を行う必要性が示唆された。そこで,“出自の差異をめぐる葛藤”を測定するための尺度を作成すべく,研究代表者の先行研究から項目を作成し,質問紙調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従って,本年度は,在日コリアンの“出自を知る出来事”の実態を明らかにするために質問紙調査を行い,データの分析と結果の考察を行うことができたため,おおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,質問紙調査によって明らかになった“出自を知る出来事”の実態を手掛かりに,インタビュー調査を行う。ただし,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を考慮し,研究を進めていく。具体的には,例えば,研究計画の段階では,インタビューは,研究代表者が調査協力者と直接会って,対面で実施する予定であったが,新型コロナウィルス感染症のため,対面での実施が困難な場合が想定される。その場合,オンラインでのインタビューの実施について検討する。また、質問紙調査の成果について学会発表等で公表を行っていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額については、本年度実施した質問紙調査のデータ分析において、統計分析ソフトウェア(SPSS)が必要になったため、その購入費に充てる。
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