2023 Fiscal Year Annual Research Report
社会運動空間における「趣味共同体」に関する研究―近代東アジア社会運動を事例に
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20K13706
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
陳 怡禎 日本大学, 国際関係学部, 助教 (30845722)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サブカルチャー / 台湾 / 香港 / 社会運動 / 趣味共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「社会運動研究」や「ファン研究」の両面から、東アジアの現代社会の若者、中でも特に女性は、いかに趣味を用いて社会空間を構築しているか、さらに社会的関係性を再編成していくかについて考察している。 本年度の研究成果について以下で説明する。 (1)以下の日本国内学会や研究会で発表した:『東アジア政治運動における「語られる/語る」女性』(Cultural Typhoon 2023)。(2)以下の日本国内学術誌に論文を投稿した:『ポピュラーカルチャー実践の公共性: ファン実践によるギャップの補填と撹乱』(日本大学国際関係学部生活科学研究所報告,45号 11-17 頁)、『「女神」化された女性活動家 ――台湾や香港の社会運動に注目して――』(年報カルチュラル・スタディーズ11巻35-38 頁)。(3)以下の学術成果公開サイトに寄稿した:『東アジアにおけるファンカルチャー実践と政治参加』(ファン研究グループサイト)。(4)博士論文を提出した:『東アジアの社会運動とサブカルチャー実践 ―台湾ひまわり運動・香港雨傘運動を事例に』(東京大学(博士論文))。 以上の発表や論文において研究者は、東アジアの女性が趣味縁をめぐって共同体を結成し、さらにその趣味共同体を通して公的社会空間への進出を果たしたことを解明したことと共に、女性と既成的社会構造における位置付けの調整や周縁における文化実践についても明らかにし、ファン研究と社会運動研究の接点を示した。 具体的に、本研究は、社会運動の参加者はいかに日常生活の中で実践しているファン文化を対抗の「戦術/戦略」として用いて、既成的社会権力に異議申し立てをしているのかを考察し、社会運動参加者たちは、明確なゴール/目的を意識して社会運動の場においてファン文化を実践しているわけではないという点を議論として提起した。
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Remarks |
本研究成果は、「ファン研究グループ」プロジェクトが作成したサイトに寄稿したものである。
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