2021 Fiscal Year Research-status Report
公立小中学校教育における発達障害支援の実証的研究―「学校文化」の比較―
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20K13712
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Research Institution | Tokyo Online University |
Principal Investigator |
櫛原 克哉 東京通信大学, 情報マネジメント学部, 講師 (00814964)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発達障害 / 公立小学校 / 学校文化 / 教育 / メンタルヘルス / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目にあたる2021年度は、フィールド調査や対面インタビューを主に実施する予定であったが、COVID-19がいまだ終息せず、自重せざるをえなかったほか、学校教職員も対応に忙殺され業務量が増えているために、協力が得られないことも少なからずあった。そのため、これまで蓄積してきたデータの分析をさらに進めていく方針をとった。特に昨年度以降、集中的に取り組んでいる論点として、①発達障害と推定される児童や生徒の特徴が学校ごとに異なりやすく、一定の傾向性やパターンを示すこと、②発達障害の児童や生徒への支援の糸口となる「発達上の課題」の発見と支援につなげる段階において、これを困難にする複数の構造的要因(相談先の不在や保護者との関係性など)や、教育現場における発達障害の「医療化」への慎重さがある場合に、支援のネットワーク形成に影響を及ぼすことがある。これらの論点については、文章化の作業を進め、先行研究や海外の研究との比較という観点から考察した。くわえて、①児童精神医学をめぐる昨今の動向の把握、②発達障害臨床に携わる医療スタッフを対象としたインタビュー調査、③若年層を中心とする統合失調症患者減少と発達障害患者増加の傾向をテーマとした考察も行った。結果、若年層を中心に、統合失調症の診断よりも発達障害の診断が先行されやすい傾向性を看取することができた。このほか、論文「神経生態社会性にむけて : 逆境のなかのメンタルヘルス」を翻訳発表し、メンタルヘルスの問題に関する最新の社会学的研究を発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大がいまだ終息していない状況が続いているため、学校でのフィールドワークやインタビューの実施がいまだ困難な状態となっている。そのため、当初の計画に比して、進捗状況が遅れざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
いまだフィールド調査の実施が困難な状態にあるが、今後はCOVID-19の感染拡大よりも前の段階に行ってきた調査や研究成果を集約し、まずは本研究課題にて一定のアウトプットを出していくことを目標とする。また、今後も児童生徒の発達障害の実証的研究が困難な状態が続く場合は、調査対象を拡大する方針をとり、青少年および成人の発達障害およびメンタルヘルスをめぐる問題も対象に含めることを検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大にともない、フィールド調査や対面インタビューの中断を余儀なくされたため、年度内の予算執行ができなかったためである。
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