2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of return migration among Japanese youth
Project/Area Number |
20K13713
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
狭間 諒多朗 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (90808312)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 若年層 / 地域移動 / 社会階層 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、過去2回実施した調査を組みあわせ、分析を行った。この2回の調査は、地方圏に住む若年還流移動者を対象とした調査と地方圏出身の若年流出者を対象とした調査である。すなわち、同じ地方圏出身の若年層ではあるが、地元に戻ってきた者と戻ってきていない者の比較を行った。 サンプルを「還流男性」「還流女性」「流出男性」「流出女性」という4つのグループに分け、各グループの特徴を分析した。 まず、現在の状態について比較してみると、雇用形態では、流出男性の正規職率が高く(流出男性:79.6%、還流男性:70.7%)、配偶者の有無では、流出女性の有配偶率が高かった(流出女性:67.9%、還流女性:53.8%)。このことから、流出者は流出先ですでに自身の生活状態を固めていることがうかがえる。一方、還流男性は無職率が高く(還流男性:9.4%、流出男性:2.9%)、還流女性は無配偶率が高かった(還流女性:46.2%、流出女性:32.1%)。 続いて、出身都道府県や現住都道府県に関する意識について比較してみると、「流出時に出身都道府県が好きだった」という回答が還流者よりも流出者で多くみられた(還流男性:60.5%、還流女性:63.0%、流出男性:69.1%、流出女性:68.3%)。このことから、地域への愛着は必ずしも還流移動につながっていないことがわかる。また、別の都道府県へ引っ越したくないという回答は還流女性で最も高く、還流男性で最も低かった(還流男性:31.8%、還流女性:45.7%、流出男性:36.0%、流出女性:40.1%)。この結果からは、還流女性は出身地に留まる可能性が高いが、還流男性は再流出の可能性も高いことが読み取れる。 以上のような、各グループの現状や意識の違いを全国調査データから明らかにできたことに本研究の意義がある。
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