2021 Fiscal Year Research-status Report
新たなソーシャルサポートとしての<よりそう支援>のモデル化に関する研究
Project/Area Number |
20K13714
|
Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
大原 ゆい 大谷大学, 社会学部, 講師 (50725174)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ソーシャルサポート / 省察的実践 / <よりそう支援> / ソーシャルワーク / 福祉実践家養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナ感染拡大の影響により、対面でのヒアリング調査の実施などが困難となったため、当初の研究計画を一部変更して研究を進めた。 具体的には、地域の居場所づくりに取り組む「コミュニティハウスひとのま(富山県高岡市)」の実践者及び利用者を対象に、コロナ禍における支援の実態についてヒアリング調査を行った。 2020年以降のコロナ禍において、「居場所」として場を解放するか否かの葛藤があったとヒアリング対象者の宮田氏(ひとのま代表)は述べる。活動の重要性はコロナであろうと、なかろうと変わることはないが、やはり社会情勢を考えると、地域の目もあり、従来通りに場を開放することは躊躇されたという。最終的には、宮田氏が代表者の権限として決定を下すことはせず、居場所を利用している子どもたちと対話をしながら、実践者として「ゆらぎ」ながら、試行錯誤のなかで活動を続ける日々であったと振り返る。 このような、実践者と利用者がともに対話を通じて、相互理解を深めながら、行動を決定していくという過程を経たからこそ、利用者自身はもとより、保護者、その他近隣住民の納得を得ながら、実践の継続が可能になったことが調査を通じて明らかとなった。このように、実践者がパターナリズム化された強い権限を持つのではなく、利用者やその他のステークホルダーも巻き込みながら、試行錯誤する支援スタイルは、まさに本研究が概念化を目指す<よりそう支援>が想定する支援スタイルである。<よりそう支援>を新たな支援スタイルとしてモデル化するプロセスにおいては、このコロナ禍での実践は、さらに考察を深めるにあたっての根拠のひとつとなった。 今年度の研究成果については、「「ケアすること」を基軸にするコミュニティの形成にむけた一考察」として学術論文にまとめ、公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒアリング調査を通して、<よりそう支援>に取り組む実践者の状況を明らかにするための手がかりを得ることができた。とくに今回のヒアリングではコロナ禍での支援の実態を明らかにすることができ、ポストコロナ社会の支援のあり方を考えるにあたって大きな示唆を得ることができた。 その一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初予定していたヒアリング調査などを計画通りに実施することができず、十分に調査データを取得できたとは言い難い状況にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑みながら、オンラインでのインタビュー調査の方法も一部取り入れ、研究を進める予定である。ただし、新型コロナウイルス感染拡大状況が継続・深刻化するような場合は、研究計画を一部変更し、理論研究を追加的に行うことも検討する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、2020年度および2021年度は当初予定していたヒアリング調査を計画通りに実施することができなかった。そのため、研究の進捗状況に遅れが生じていることが次年度使用額が生じた理由である。 今後は感染拡大状況を鑑みながら、可能な限り現地に赴いてヒアリング調査を行うとともに、オンライン調査といった実施形態の変更も検討しながら研究を遂行する予定であり、ヒアリング対象者への謝金や旅費として経費を使用することとしている。 また、研究成果の報告を学会(日本社会福祉学会および日本福祉介護情報学会)にて行う予定であり、そのための学会参加費および旅費としての経費使用も予定している。
|
Research Products
(2 results)