2022 Fiscal Year Research-status Report
外国人の地域社会でのボランティア活動を介した外国人材受け入れの事例研究
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20K13717
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Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
光野 百代 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 講師 (10544942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 移民組織 / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、これまで収集したデータ(地域でボランティア活動を運営する在日外国人への半構造化インタビュー、ボランティア活動に協力してきた地域の関係者のインタビュー、ボランティア活動の観察の記録、SNSの観察、国と地方自治体の多文化共生と外国人材受け入れに関するガイドラインの内容分析)を再度考察しながら、執筆に注力した。pathways という概念を用いて、地域社会に外国人が参加する環境をシステムとして捉え、そのシステムの下で展開される在日外国人によるボランティア活動の組織化を具体的に検討した。それにより、地域の関係者と在日外国人との協働作業が、チームワークだけでなく、協働的な関係をも形成していることを明確にすることができた。この分析から、ボランティア活動そのものではなく、そこから形成される協働関係に注目し、さらに、そのような関係を築く能力を持つ組織としての外国人のボランティア団体を捉える重要性が見えてきた。 関連して、移民組織に注目を向けることで研究課題を移民研究の最近の先行研究に位置付けることもできた。ボランティア活動のみに注目していた当初は、活動を条件付ける移民政策、外国人の労働市場への参入等のホスト国の受け入れの文脈と関連させながら分析を行っていた。一方、移民組織の先行研究は、母国とのトランスナショナルなつながりや、ホスト国でのコミュニティ形成、橋渡し的役割等の特徴を強調してきたが、最近の研究は、市民社会論に位置付けて移民の社会統合における移民組織の役割が論じられている。在日外国人によるボランティア活動を組織というレベルで検討する学問的根拠をある程度明確にし、分析を行う具体的なデータを特定できたと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度もコロナ禍の状況の中で、当初予定していた旅行を伴う研究活動はキャンセルすることになったが、分析と執筆を進めることができたので、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
移民の自発的活動の組織化と、ホスト国の地域社会との協働という視点から、在日外国人のボランティア活動の意義を分析する。学会での報告や執筆を行いながら議論を深めたい。 また、ホスト国の受けれの文脈と共に、送り出し国の文脈からも在日外国人のボランティア活動の意義を検討するために、当初計画していたフィリピンへの出張の可能性を探り、見通しがつけば実施する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国内、国外の出張をキャンセルしたため、予算を執行しきれておらず、また、国内移動や海外渡航が再開されている現状があるため。
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