2020 Fiscal Year Research-status Report
独居高齢者の社会的孤立を予防する修正可能な要因の解明
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20K13719
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
江尻 愛美 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90738890)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的孤立 / 独居 / 地域高齢者 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、独居者の孤立状況に関連する生活習慣や健康状態、社会要因等の修正可能な要因を明らかにすることを目的としている。研究初年度である2020年度は、①孤立の予測因子に関するシステマティックレビュー、②地域在住高齢者を対象とした郵送調査、の2点を実施した。 ①孤立の予測因子に関するシステマティックレビューでは、本研究で修正可能な要因として検討すべき要因を先行研究から明らかにした。レビューの結果、これまでの研究で予測因子として検討されたのは修正不可能な社会人口統計学的要因が最も多く、修正可能な要因についての知見が不足していること、修正可能な要因としては身体的健康要因(視聴覚障害、IADL)、心理・認知的要因(健康度自己評価、認知機能)、社会・文化的要因(社会参加、余暇活動)が検討されていることが明らかとなった。また、居住地域や人種で層化した分析は行われていたが、家族構成(独居/同居)で層化した分析を行った研究はなかった。本レビューは原著論文(タイトル:Predictors of older adults’ objectively measured social isolation: A systematic review of observational studies)としてArchives of Gerontology and Geriatricsに掲載された。 ②地域在住高齢者を対象とした郵送調査では、①のレビューの結果を踏まえ、家族構成、生活習慣、IADL、生活機能等で構成された調査票を作成し、2,154名(独居者16.1%)から回答を得た。現在は、家族構成で層化した分析を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、2020年度は郵送調査のデータを用いて横断的な分析を行うこととしていたが、調査項目を検討するためのシステマティックレビューに時間を要したため、分析まで完了しなかった。ただし、調査票の回収およびデータセットの作成は完了しており、分析のための準備は整っている。また、システマティックレビューを原著論文として投稿・採用されたことは大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
郵送調査のデータを用いて家族構成で層化した分析を行い、独居者に特有の修正可能な関連要因を横断的に明らかにする。 また、2021年度は質的横断研究として独居者に対するインタビュー調査を実施する計画としているが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い対面でのインタビューの実施が困難な可能性があるため、非対面での実施方法を検討するなど、感染対策を十分に行いながら研究を実施する。
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Causes of Carryover |
国内外の学会参加のための旅費を計上していたが、新型コロナウイルス感染症の流行により学会が開催されなかった、またはオンラインでの開催となったため、次年度使用額が生じた。 学会参加費や論文英文校正料に使用する。
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