2023 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険制度における住民主体による「助け合い活動」の推進と運営課題に関する研究
Project/Area Number |
20K13726
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
田中 将太 琉球大学, 人文社会学部, 講師 (10787724)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 介護保険制度 / 生活支援サービス / 住民主体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、介護保険制度における介護予防・生活支援総合事業に焦点を当て、住民主体の助け合い活動の推進が住民参加型在宅福祉サービス団体(以下、住参型団体)に与える影響と、これら団体が期待される社会的役割や運営管理に必要な専門性について調査した。 2023年度には、アンケート調査とインタビュー調査の結果を基に詳細な分析を行い、以下の結果を得た。総合事業を実施している団体は、主に中学校区内で活動し、行政との連携やコーディネーターの専従配置、財源が補助金中心に行われており、活動理解に関する課題が多い傾向がみられた。一方、総合事業を実施していない団体は、総合事業や介護ボランティアポイント制度、地域包括支援センターの認知が低く、コーディネーター報酬額や利用者の増加、新型コロナウイルス対策のノウハウの不足が課題として多い傾向がみられた。 次に、インタビュー調査では、総合事業に参入した団体を対象にその参入プロセスと影響因子を分析した。その結果、住参型団体は、①生活者の視点による生活支援ニーズの気づきと有償の助け合い活動の仕組みを用いたニーズ充足モデルの実践、②口コミや利用実績による活動の広がり、③自治体担当者等との関係形成と生活支援体制整備にかかる協議、④自治体担当者等からの協力依頼や公募という参入プロセスが明らかになった。しかし参入により活動の公益性や新たな財源等といった経営資源を獲得する一方、利用増に伴うコーディネート機能の量的・質的負担への対応や実績に伴う事務作業への対応、等参入に伴う従来活動への規制への対応等組織マネジメント上の課題が明らかとなった。これらの調査結果から、地域での持続可能な生活支援体制整備において、参入後に活動団体が抱える組織マネジメント課題の分析と検討の重要性が示唆された。
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