2020 Fiscal Year Research-status Report
里親・養子縁組におけるソーシャルワーク-イギリスの実践から学ぶ-
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20K13728
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 敬子 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (60772176)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 児童ソーシャルワーク / 里親委託 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はイギリスの児童ソーシャルワークに関する文献や政策文書等に焦点を当てて研究を行った。文献調査から、イギリスでは1970年代頃にはすでに児童ソーシャルワークの主流として里親委託が位置付けられ、里親委託に関する研究が行われていたことがわかった。例えば、Adamson,G.(1971)は、イングランドおよびウェールズの児童ソーシャルワーカーに対して、質問紙調査を実施した。この調査は児童ソーシャルワーカーが担当の里親にどのように対応しているのか調査するためのものであった。 また、近年においては、ソーシャルワークの質的向上のために「専門能力育成フレームワーク(Professional Capabilities Framework ;PCF)」が作成されていることがわかった。PCFはイギリスにおけるソーシャルワークの教育と専門能力開発のための包括的枠組みである。2012年に初めて考案され、2017年から2018年にかけて大規模な協議を経て、見直しと刷新が行われた。このPCFのほか、児童ソーシャルワークに関しては「子どもと家族のための知識とスキルの基準(Knowledge and Skills Statements for children and families’;以下、KSSと称す)」が示されている。KSSは特定の実践環境や役割において資格を持つソーシャルワーカーに期待されることを定めており、子どもと家族への支援のほか、成人への支援を対象としたものもある。 そして、PCFとKSSは共に、現在のイギリスにおける資格取得および資格取得後のソーシャルワーク教育と実践の基礎を提供し、採用、人材開発、業績評価、キャリアアップに活用されていること、KSSは、PCFの実践領域(知識、批判的反省と分析、介入とスキル)にマッピングされていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度はCOVID-19の影響により、本来実施予定であったイギリスの里親機関のソーシャルワーカーへのインタビュー調査等の実施が困難であったため、文献の精査のみにとどまっているという現状であるため、当初の実施計画よりも遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度においてもイギリスへの実地調査の実施が現状では困難であるが、状況が改善次第、調査の実施について調整を行っていく予定である。 今年度も実地調査が困難であった場合は、里親委託および養子縁組におけるソーシャルワークに関する文献調査を進めていく予定である。特に、今年度は①子どもと家族のソーシャルワークにおいてどのようなことが重視されているのか、②里親委託および養子縁組におけるソーシャルワークのアセスメント、③里親委託および養子縁組におけるソーシャルワーク実践に関する評価、の3点に焦点を当てて研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度に実施を予定していた実地調査がCOVID-19の影響により実施できず、調査に係る物品費や旅費、人件費の支出が発生しなかったため、次年度使用額が生じた。 2021年度に調査が実施可能であった場合は、実地調査の際に使用予定である。
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Research Products
(2 results)