2021 Fiscal Year Research-status Report
里親・養子縁組におけるソーシャルワーク-イギリスの実践から学ぶ-
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20K13728
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 敬子 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (60772176)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 児童ソーシャルワーク / 里親委託 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は①里親委託および養子縁組におけるソーシャルワークのアセスメント、②里親委託および養子縁組におけるソーシャルワーク実践に関する評価、の2点に着目して文献研究を行った。 里親委託や養子縁組におけるアセスメントでは、日々の支援においてのみならず、里親希望者や養親希望者の認定時にもアセスメントを行う。この認定アセスメントにおいて、イギリスでは申請者の家庭で生活している子どもへのアセスメントおよび支援を重視していることがわかった。アセスメントを開始時に申請者の家庭の子どもと顔を合わせたうえで、アセスメントプロセスへの子どもの関わりかたを、申請者と話し合うことが求められている。これは、里親家庭・養子縁組家庭となるにあたっての子どもの心構え、子どもの考えの聞き取り、子どもの強みと脆弱性のアセスメント、適切なサポートへのアクセスの確保するためである。そのため、一部の支援機関には申請者の家庭の子どもを対象としたグループセッションが設けられていることがわかった。 実践評価に関しては、OFSTEDの実践について公開された文献等の精査を行った。OFSTEDは1992年に設立されたイギリスの第三者による学校評価機関であるが、2007年から子どものケアに関する評価も実施している。フォスタリング機関の評価報告書や評価基準も公開されており、それらをもとにどのような点を重視して評価を実施しているのか調査を行った。 このほか、アセスメント情報を視覚的に理解するためのアセスメントツールに関する調査として、アセスメントツールを開発している国内研究者と意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度も2020年度と同様、COVID-19の影響により本来実施予定であったイギリスの里親機関のソーシャルワーカーへのインタビュー調査等が実施できなかったため、文献の精査のみにとどまっているという状況である。こうした現状から、当初の実施計画よりも遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
状況が改善次第、調査の実施について調整を行っていく予定である。 今年度も実地調査が困難であった場合は、里親委託および養子縁組におけるソーシャルワークに関する文献調査を進めていく予定である。特に、実践評価に関しては、OFSTEDによる里親支援機関への監査に使用されているSCCIF(Social Care Common Inspection Framework)から、日本の里親支援機関の実践評価への示唆を得たいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度に実施を予定していたイギリスでの実地調査がCOVID-19の影響により実施できず、2021年度も同様に実地調査が困難であった。そのため、調査に係る物品費や旅費、人件費の支出が発生せず、前年度に引き続き次年度使用額が生じる結果となった。 2022年度に調査が実施可能であった場合は、実地調査の際に使用予定である。
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Research Products
(2 results)