• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Research-status Report

「階級」関係から検討する貧困理解および貧困対策に関する研究

Research Project

Project/Area Number 20K13729
Research InstitutionPrefectural University of Hiroshima

Principal Investigator

志賀 信夫  県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 准教授 (70772185)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords貧困理論 / 絶対的貧困 / 相対的貧困 / 社会的排除 / 階級論的貧困理論 / 階層論的貧困理論
Outline of Annual Research Achievements

2022年度においては、貧困理論に関する研究会を重ね、論文及び著書(単著『貧困理論入門』堀之内出版)を刊行した。著書については、階級論的貧困理論と階層論的貧困理論の比較検討をおこない、その両方が必要であることを主張した。こうした理論的整理はこれまでの貧困研究ではなされていなかったと思われる。また、『貧困理論入門』については、経済理論学会において書評の対象となり、書評論文(評者:橋本健二(早稲田大学))も『季刊経済理論』第59巻第4号に掲載されている。この書評会および書評論文において指摘されたのは、マルクスが指摘するような、私的労働に基づく商品が一般化した社会における、人間の生活の絶対的不安定性、すなわち「絶対的貧困」に対して、貧困理論からどのようなアプローチの可能性が考えられるのかということであった。この課題については、既に研究を開始しており、2023年度中には投稿論文として発表できるようにしていきたいと考えている。
2022年度には、貧困理論に基づく発展的な研究も並行して実施し、これも著書(安里長従・志賀信夫『なぜ基地と貧困は沖縄に集中するのか』堀之内出版)として刊行した。同著は、貧困理論における「自由」という概念を用いて、沖縄に集中する基地と貧困は別個の問題ではなく、一体的な解決が要請される問題であることを明らかにしたものとなっている。
2023年度は、①経済理論学会の書評会および書評論文から指摘された課題に対する対応を試み、②その試みによって得られた新たな知見から「公助、市場、準市場」という福祉の取り扱いに関する議論の枠組みそのものを相対化するような研究も実施予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

既に述べたように、これまでの研究の進捗状況は概ね順調である。
ただし、当初予定していたような渡英がかなわなかったため、大幅に研究方法を変更した。現地での資料蒐集ができなかったために、取り寄せ可能な文研研究および研究会の積み重ねによって対応した。つまり、現地でしか蒐集できない資料から新たな情報を獲得するという方法ではなく、取り寄せ可能な資料を読み込み議論を重ねることで新しいアイデアを獲得し、それを理論化していくという方法を重視した。
もちろん、この方法の変更によって当初想定していた研究計画通りとはならなかったが、変更後の研究の推進過程で階層論的貧困理論と階級論的貧困理論という整理や、マルクスが提示した「絶対的貧困」概念に対する貧困理論の可能性についての示唆が得られるに至った。

Strategy for Future Research Activity

既に述べたが、2023年度は、①経済理論学会の書評会および書評論文から指摘された課題に対する対応を試み、②その試みによって得られた新たな知見から「公助、市場、準市場」という福祉の取り扱いに関する議論の枠組みそのものを相対化するような研究を実施予定である。
このために、やはり蒐集可能な文献の読み込み、そして研究会における議論の積み重ねが必要であると考えている。

Causes of Carryover

2022年度は、これまでの研究成果をひとまずまとめることに集中したため、旅費等がかからなかった。また学会等についてもオンライン開催となった場合も多く、旅費の支出が多くなかった。
2023年度は、さらなる発展的な研究課題に挑戦するため、①研究会への積極的な参加、②発展的な研究課題への挑戦に必要な資料蒐集をおこなう。このために、旅費と物品費がまとまった額として必要であることが見込まれる。

  • Research Products

    (7 results)

All 2023 2022

All Journal Article (3 results) Presentation (2 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 現代日本の貧困をどうとらえるか2023

    • Author(s)
      志賀信夫
    • Journal Title

      科学的社会主義

      Volume: 298 Pages: 6-15

  • [Journal Article] 貧困理論から生存権を問い直す : 生活保護引き下げ訴訟は何と闘っているのか?2022

    • Author(s)
      志賀信夫
    • Journal Title

      Posse

      Volume: 52 Pages: 116-123

  • [Journal Article] 貧困理論は「二〇世紀型」から脱却できるのか : 優生思想ではなく、連帯による自由の平等を2022

    • Author(s)
      志賀信夫
    • Journal Title

      Posse

      Volume: 52 Pages: 124-132

  • [Presentation] 貧困理論は本源的無所有状態としての貧困に対抗できるのか2023

    • Author(s)
      志賀信夫
    • Organizer
      社会政策学会中国四国部会
  • [Presentation] 貧困理論と医療・福祉運動2022

    • Author(s)
      志賀信夫
    • Organizer
      日本医療福祉政策学会
  • [Book] 貧困理論入門2022

    • Author(s)
      志賀 信夫
    • Total Pages
      224
    • Publisher
      堀之内出版
    • ISBN
      9784909237651
  • [Book] なぜ基地と貧困は沖縄に集中するのか?2022

    • Author(s)
      安里 長従、志賀 信夫
    • Total Pages
      336
    • Publisher
      堀之内出版
    • ISBN
      9784909237750

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi