2021 Fiscal Year Research-status Report
地域特性に応じた介護保険事業の運営による地域介護の限界改善に関する研究
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20K13731
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金 吾燮 立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (80822759)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域介護の限界点 / 地域福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域介護の限界点を向上させる介護保険事業運営のあり方を分析するため、介護保険サービス利用についてのデータベースを構築し、分析を行った。研究結果については、関連学会に投稿しその内容が公開されている。 高齢化進行状況(高齢化率、高齢者人口密度)に基づいてクラスター分析を行い、全国の介護保険者を類型化した。介護保険広域連合については、多数の市町村で構成されているため市町村の特性を把握しにくい限界があり、調査対象から除外した。また、分析の際、介護保険のデータ(介護保険事業報告状況)と市町村のデータ(国勢調査)との整合性を調整するため、両データともに2020年の資料を用いてクラスターの情報を更新した。また、介護保険サービスの利用傾向について、地域密着型介護サービスの利用要因について分析を行った。その結果、地域密着型介護サービスの利用は介護保険者の財政状況が厳しいほど高く、高齢者人口密度が高いほど利用率が低く、一般病院数が多いほど高いことが分かった。また、一般世帯平均人数が少ないほど、地域の平均要介護度が高いほど利用率が高かった。 上記の研究で、地域の介護限界点を分析するための基礎データベースの構築や先進事例を探索するための要因を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査や先進事例の選定をするための基礎データの構築が計画通りに進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
地域介護の限界点を向上させる介護保険事業運営のあり方を分析するため、2つの通りで分析対象を抽出する。1つ目は、地域介護の限界点が高い群(以下、高限界群)と低い群 (以下、低限界群)を抽出する。2つ目は、地域介護の限界点が改善された介護保険者(以下、改善群)とその他の介護保険者(以下、非改善群)を抽出する。前者は、両群を比較し地域介護の限界点に影響を与える要因を分析するためであり、後者は、効果的に地域介護の限界点を向上させる要因を分析するためである。これらの対象のうち、「高限界群」と「低限界群」は、厚生労働省の介護保険事業状況報告のデータを用いて地域介護の限界点を算出し分類する。また、同データのうち2000~2018年度(1,580保険者)のデータを用いて、地域介護の限界点の改善率を算出し、それを基準に「改善群」と「非改善群」に分ける。次に、各群における介護保険者の財政状況、介護・医療資源、介護サービスの利用量、利用する介護サービスの種類・量、介護サービスの組み合わせなどの介護サービスの提供体制を比較検討し、その特徴を分析する。そして、1,580の介護保険者の介護保険事業担当者を対象に、サービス提供体制の指向性、介護予防・在宅介護・地域密着型介護サービスの組み合わせ、各施策の効果や課題などに関するアンケート調査(郵送)を行い、介護保険事業の運営成果(地域介護の限界点及び改善率)との関連を分析する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、2021年度に実施されなかったインタビュー調査について、2022年度に行う。
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