2023 Fiscal Year Annual Research Report
発達上の課題・困難を有する非行少年の実態と再非行防止・発達支援に関する調査研究
Project/Area Number |
20K13742
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
内藤 千尋 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30734074)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 少年非行 / 発達上の課題・困難 / 少年院 / 本人・当事者 / 発達支援 / 地域移行支援 / 北欧諸国 |
Outline of Annual Research Achievements |
少年院に在院する発達障害等の発達上の課題・困難を有する非行少年への訪問面接法調査を実施した。面接調査の結果のうち、特に在院中における基礎教科の学び直し・基礎的学力の習得、各種資格取得や高等学校卒業程度認定試験の受験に係る少年の学習支援ニーズ、出院後の高校等への復学や大学等の進学に係る少年の修学支援・移行支援ニーズでは、出院後に高校進学・復学や専門学校・大学等の進学を希望する回答に関連して、高校進学・復学や専門学校・大学等の進学に関する十分な情報提供や丁寧かつ具体的な就学・修学支援の充実を求めていた。移行支援(社会復帰支援)においては、大学等の関係機関への調整のほか、多様な発達支援ニーズを有する在院者に対しては、出院後の福祉的支援を想定した障害者手帳の取得も取り組まれているが、少年院の出院後も長期的かつ継続的な支援が不可欠なケースが少なくないため、保護観察所等との連携が大きな課題となる。 また近年の取り組み状況をふまえ、修学支援においては、在院中から保護観察所・保護司との就学支援計画を本人と共に具体化していくことのほか、「少年院在院者に対する高等学校教育機会の提供」の対象となった出院者のその後の進路状況についての追跡調査も当面する課題といえる。 次に、北欧諸国における非行等の社会的不適応等を示す子ども・若者に対する教育・支援の実態調査として、スウェーデン・ストックホルム市とフィンランド・ヘルシンキ市を中心に、子ども対象の相談支援機関や精神保健協会、学校教育・国民大学等を訪問した。COVID-19パンデミックにより顕在化した、子どもの長期欠席・不登校・ひきこもり、抑うつ、自傷・摂食障害、自殺企図・自殺等の子どものメンタルヘルス問題が確認された。子ども本人・当事者の支援ニーズの把握や具体的な支援の検討が課題である。
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