2020 Fiscal Year Research-status Report
地域共生社会の推進に伴う、制度の狭間の問題に対するソーシャルワーカーの役割と技能
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20K13750
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
梶原 浩介 西南女学院大学, 保健福祉学部, 講師 (60847044)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制度の狭間の問題 / ひきこもり / 8050問題 / 制度外サービス / ジェネラリストソーシャルワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
補助事業期間1年目(2020年度)の研究実施計画では文献研究を実施した。8050問題を抱える家族支援に関する研究である。 主に公的資料に基づき、8050問題を抱える家族の現状について整理し,家族に対する支援の課題について考察した。その結果、(1)家族の現状として、①8050問題を抱える家族の特徴、②高齢者支援を通じてのひきこもり当事者の発見、(2)家族の課題として、①制度外サービスの不足、③ひきこもり当事者に対する生活支援の不足、③地域を基盤とするジェネラリストソーシャルワーカーの必要性があげられた。各資料を通して、制度の狭間の問題に介入するソーシャルワークの担い手として、ジェネラリストとしてのソーシャルワーク専門職(社会福祉士を想定)が地域共生社会の実現には不可欠である。地域のニーズや実情を理解した全世代対応型の包括的・総合的なソーシャルワークの充実が期待されることを示した。以上の内容について、日本社会福祉学会『九州社会福祉学』へ投稿し、その文献研究の成果を公表した。 2020年度の研究実績を踏まえて、全世代対応型の包括的・総合的なソーシャルワークを充実させていくうえで相談援助能力(ソーシャルワーク)の向上が求められる。地域共生社会を実現するために、地域に求められる人材として①制度横断的な知識を有し、②アセスメントの力、③支援計画の策定・評価、④関係者の連携・調整、⑤資源開発までできるような、包括的な相談支援を担える人材養成に取り組むべきとある(厚生労働省「我が事・丸ごと地域共生社会実現本部」地域力強化検討会)。 したがって、2021年度以降の調査によって、地域を基盤とするソーシャルワーカーに求められる専門性について問う必要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先述したように、補助事業期間1年目(2020年度)の研究実施計画では文献研究を実施した。当初の計画通り、8050問題、ひきこもり、当事者・家族支援、社会福祉協議会・ひきこもり地域支援センター・NPO法人等の制度外サービスを提供する支援機関、ソーシャルワーク関連の先行研究・調査報告書等を収集し、整理することができた。 その結果、(1)家族の現状として、①8050問題を抱える家族の特徴、②高齢者支援を通じてのひきこもり当事者の発見、(2)家族の課題として、①制度外サービスの不足、③ひきこもり当事者に対する生活支援の不足、③地域を基盤とするジェネラリストソーシャルワーカーの必要性があげられた。 各資料を通して、制度の狭間の問題に介入するソーシャルワークの担い手として、ジェネラリストとしてのソーシャルワーク専門職(社会福祉士を想定)が地域共生社会の実現には不可欠であることを示唆するとともに、今後の調査研究に向けての基礎を固めることができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の補助事業期間2・3年目(2021年度・2022年度)はインタビュー調査を予定していたが、近年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、対面によるインタビュー調査は感染拡大や人命のリスクに関わると判断し、調査方法を変更することとした。 変更後の対応策として、WEB調査法に変更をすることに決定した。補助事業期間1年目の文献研究で捉えた成果をもとに、2・3年目はWEB調査法にてGoogleフォーム上に質問項目を作成し、九州・沖縄圏内の社会福祉協議会、ひきこもり地域支援センター、地域包括支援センターを対象に自己記入式調査を実施する。次に、回答内容に関する詳しい聞き取りを行うため福岡県内の支援機関30ヶ所を対象にGoogle meet等を活用した面接調査法にて質問項目に基づいた個別面接調査を実施することで収集したデータの内容を深めることとする。
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Causes of Carryover |
補助事業期間1年目は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による感染拡大の影響により、学会参加などの旅費の支出がなかった。そのため補助事業期間2年目から始まるWEB調査に係る費用として充当したい。
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Research Products
(1 results)