2023 Fiscal Year Annual Research Report
一時保護所職員を対象にした外部研修プログラムの作成およびSVの有効性の検証
Project/Area Number |
20K13753
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
阪無 勇士 目白大学, 心理学部, 専任講師 (10850969)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 児童相談所 / 一時保護所 / スーパービジョン / 子ども中心の関わり |
Outline of Annual Research Achievements |
一時保護所では権利擁護の大枠が築かれる一方,その具体的な実践方法を学ぶ機会が非常に少ない。例えば,一時保護所の95%が人材育成指針の策定が無く,41%が研修実施計画を定めていない(日本総合研究所,2022)。職場内のOJTの活用が極めて重要だが,上司から的確なSVを受けたと感じる職員は22%であり,職員の61%がSVを実施する時間の確保,内容の質,SV級の人員確保に課題を感じている(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社,2021)。一方,研究1では子ども中心の援スキルをSVに活用する有用性が部分的に示された(研究1)。本研究では,子ども中心の支援スキルを高めるピアSVを実施し,その効果を検証した。一時保護所職員46名を対象に子ども中心の支援モデルをテーマにした講義とグループワークを行った。なお,職員の子ども中心の支援スキルはメンタライズ能力の指標である内省的な姿勢が大きく影響することから(研究3),グループワークでは子ども中心の支援モデルの流れを概説したうえで,メンタライズ能力を短時間で回復させるとされる協同的思考法を活用した(Bevington & Fuggle,2012)。研修前,研修直後,研修2週間後の3時点で質問紙調査を行った。質問紙の構成はフェースシート,内省的姿勢尺,子ども中心の支援スキル尺度,SVの効果尺度であり,分析対象者は直前・直後の2時点における回答不備を除いた26名(男性13名,女性13名,年齢38.92歳±10.04)であった。 t検定の結果,内省的な姿勢と子ども中心の支援スキルは,いずれにおいても研修前よりも研修後で高まる傾向が明らかとなった。その後,パス解析の結果,SVの効果は内省的な姿勢を介して2週間後の子ども中心の支援スキルの下位因子全てを促進する傾向が示された。職員の内省的な姿勢を高めることを意図したSVが強く望まれる。
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