2021 Fiscal Year Research-status Report
医療資源へのアクセシビリティ格差が与えるがんリスクおよび予後の地域差に関する研究
Project/Area Number |
20K13755
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
堀 芽久美 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (20735732)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アクセシビリティ / がん / 地域格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京都23区を対象に、がん死亡率とがん診療連携拠点病院(以降、拠点病院)までの移動時間の関連を調査することを目的とした。がん死亡率には、人口動態保健所・市区町村別統計を利用した。昨年度、拠点病院までの移動時間が10分以内、30分以内、60分以内のエリアを特定した。本年度はその情報から、拠点病院に受診するための最短時間が10分以内、30分以内、60分以内の住民の割合を市区町村別に算出した。また、住民が拠点病院を受診するための最短時間の平均を市区町村別に算出した。以上を利用して、最短時間別の割合または最短時間の平均と市区町村別のがん死亡率との関連を推計した。本年度は東京23区のみを対象としたため、市区町村別のがん死亡率と拠点病院までの移動時間に有意な関連は見られなかった。東京都23区内では、拠点病院まで30分以上の時間を要するエリアが存在しなかったため、拠点病院までの移動時間による影響の評価は困難であったと考えられる。今後、対象地域を全国に広げ、拠点病院までの移動に要する時間の影響を評価することとする。全国を対象とすることで、拠点病院までの距離や移動時間が与える影響度が、都市部とその他のエリアで異なるのか評価可能となる。また、次年度は移動時間を利用し、移動にかかるコストの推計を行う。 本年度はアウトカム指標としてがん死亡率を用いたが、次年度は全国がん登録情報の利用申請を行い、がん罹患率や早期がん診断割合、生存率と医療資源へのアクセスについても評価できる体制を整える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の地域において集計方法の実施可能性が確認できた。当初はメッシュ(1km×1km)単位での集計、関連性の検討を予定したが、メッシュでの死亡率の推計が不安定であり、市区町村別の推計に変更している。
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Strategy for Future Research Activity |
東京23区を対象として実施した到達圏解析を全国に適用する。集計の最小単位をメッシュから市区町村に変更したため、必要な項目情報について市区町村別統計の収集を行う。
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Causes of Carryover |
地理情報ソフトウェアの使用に要する費用を繰り越したため。利用している地理情報ソフトウェアは計算試行回数が費用に影響する。計算の集計単位を市区町村に変更し、計算回数が減少したため、ソフトウェアを用いた解析にかかる費用が予定より少なくなった。 来年度、市区町村別の基本統計の算出のため、2020年度国勢調査資料の購入に使用する予定である。
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