2020 Fiscal Year Research-status Report
施設入所中の認知症高齢者のための非薬物療法に関するストレスコントロール研究
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20K13762
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
柳田 信彦 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (60331154)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / ストレス / 簡易脳波 / 唾液アミラーゼ / 中核症状 / BPSD / 回想法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、多大なストレスの中で生活を強いられ、それが生活のしづらさや不穏につながり、新たな症状を生み出す可能性がある認知症高齢者を対象にして、認知症高齢者のストレスの状態を、生理学的指標を用いて計測し、中核症状と周辺症状の状態とストレスについての関連性を解明することを目指している。 その方法は認知症高齢者を対象にして、認知症高齢者のストレスの状態を生理学的指標である唾液アミラーゼと簡易脳波計を用いて計測し、並行して中核症状とBPSDについて評価を行い、中核症状と周辺症状の状態とストレスについての関連性を解明する。さらに認知症高齢者に対して実施される活動の中で、特別な機材や場所を必要とせず、色々な状況で活用可能な「回想法」を用いて、その実施前後の中核症状、周辺症状とストレスへの影響を解明し、認知症高齢者のストレスコントロールの方法の一つとして役立てるための第一歩としたい。 具体的には、介護老人保健施設認知症専門棟(老健)に入所中の言語的コミュニケーションが可能な認知症高齢者を対象することを計画している。2020年度はストレスと中核症状、周辺症状の関連性についての調査を行い、唾液アミラーゼによるストレス、簡易脳波計による脳波測定、中核症状評価、周辺症状評価を行う予定であった。 しかしながらコロナウイルス感染防止のため、当該施設において対象者からデータを取ることが許可されず、簡易脳波計の購入を中心に計測機器一式の購入とセットアップを行い、実際の計測に向けてシミュレーションを行った。現在、老健とのコミュニケーションを密に取りながら開始時期を模索しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルス感染防止のため、対象者が入所する施設において対象者からデータを取ることについて2020年度は許可されなかった。 そこで機器の購入を行い、簡易脳波計を中心に計測機器一式のセットアップとデータを取る際のシミュレーションを行い、実際の計測に向けてトレーニングを行った。 現在、老健とのコミュニケーションを密に取りながら開始時期を模索しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
対象者が入所する施設において対象者からのデータ収集については2021年度の上半期に予定されているワクチン接種後、一定期間の後、施設における集団免疫が概ね獲得されたと判断した時点での開始が許可されるものと見込んでいる。 したがって2020年度に予定していた認知症高齢者に対する中核症状、周辺症状の関連性についての基礎となる調査を2021年度に行う予定である。 具体的には、研究対象者は介護老人保健施設認知症専門棟(老健)に入所中の言語的コミュニケーションが可能な認知症高齢者であり、かつ「認知症高齢者の日常生活自立度」がⅢ以上を対象とする。 ストレスについては唾液中に含まれるα-アミラーゼの上昇や低下により、ストレスの計測が可能なニプロ社製唾液アミラーゼモニターでストレスの計測を行う。簡易脳波の測定はFUTEK BrainPro FM-939システムにてα波とβ波の測定を行い対象者の状態を把握する。2020年度に1セット購入して計測のためのシミュレーションを行ってきたが、本年度は当初の予定通りもう1セット購入して、実際にデータを集めることを行っていきたいと考えている。中核症状の評価には改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を使用する。周辺症状の評価にはNeuropsychiatric Inventory(NPI)の施設版であるNPI-NHを使用する。計測は一人の対象者に対し1か月に1回実施し、合計3回実施し、対象人数はのべ90名を見込んでいる。 調査は通常の生活をする中での唾液アミラーゼによるストレス、簡易脳波計による脳波測定、中核症状評価、周辺症状評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
申請時の研究計画では初年度、簡易脳波計を中心とした計測機器を2セット準備し、研究を進めていく予定であったが、研究を実施するために必要な計測機器について見積もりを取ったところ、金額に差異が発生し交付された金額では1セットのみの購入しかできないことが分かった。 そのため当初の計画を実施するために不足している金額相当を前倒し請求した。 計測機器2セットが購入できるように前倒し請求したが、新型コロナ感染症の影響で介入とデータ収集ができなかったため1セットのみ購入した。 次年度は当初の予定通り、計測機器の残り1セットの購入に用いる。
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