2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on Survival Strategy to Adversity Experience in Childhood
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20K13766
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
高橋 康史 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 講師 (60824711)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子ども時代の逆境的体験 / 家族規範 / 脱家族 / アイデンティティ / 青少年福祉 / アイデンティフィケーション / インターセクショナリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「子ども時代に逆境体験をした者はどのように生活を維持していくのか」という問いに答えるべく、当事者へのインタビュー調査、日本でのGood Practiceの収集、諸外国の事例収集という3つの研究を組み込んでいる。 本年度は、①当事者へのインタビュー調査とその分析、②日本のGood Practice調査を行った。第1に、子ども時代に逆境的体験をした者に対する生活史調査による縦断的質的研究に着手した。子どもの視点からみた逆境的体験とそのサバイバル・ストラテジーに関するin-depthなインタビューを3名を対象として行った。第2に、国内におけるGood Practiceの収集を行い、子どもの強みを生かした支援の方法の在り方について考察をした。特に、支援者の当事者性が重要なポイントとなり得ることが明らかになった。 また、子どもの視点からみた逆境的体験とそのサバイバル・ストラテジーに関するin-depthなデータを収集することを目指し、子ども時代に逆境的体験をしながらも社会的養護による支援(社会的支援)を得ず、生活を維持した者を対象に半構造化面接形式による縦断的生活史調査の実施を行ったものを、論文としてまとめ発表した。 研究を経て、次の2つの概念が重要な意味を持つことが明らかになった。第1に、家族規範にくわえて異性愛規範である。異性愛規範は、「家族の正常性」を社会的に構築する作用があることが明らかになった。次にそこを乗り越える上では、複数の当事者性とそれらの関係性を捉える、インターセクショナリティ(交差性)概念が重要な意味をもつことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染拡大による影響により、インタビュー調査それ自体に影響が出ている。本研究テーマは、センシティヴな内容を含むために、ZOOM等のビデオ通話での調査も実施が難しい状況に置かれた。以上の理由により、研究に大幅な遅れがみられている。 そうした状況の中、一事例ではあるが、インタビュー調査にもとづいた本研究の成果が、査読論文として発表された。また、家族に関するライフヒストリーをもとにインターセクショナリティ(交差性)の概念から分析した研究が、日本社会病理学会の優秀報告賞として選出された。 ただし、研究Ⅲでは、諸外国における制度政策の分析による制度比較研究を行う。 家族規範や社会的養護の仕組みが異なる取り組みから日本への示唆を得ることにより、日本における限界と課題を明らかにする。多様な「家族観」のもと司法、福祉、教育等の多様なアクターが参加しながら社会的養護が進められているニューサウスウェールズ州(オーストラリア)を事例として選定していたが、渡航が困難な状況となり、今後の研究実施にも大きな影響が出ると見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後においても、引き続き子ども時代に逆境的体験をしながらも、社会的養護による支援を得ず、生活を維持した者に対するインタビュー調査を行いながら、それを理論的視点から分析することを継続する(研究Ⅰ)。次に、社会福祉学的な考察を行う為に、日本においてGood Practiceを収集しながら(研究Ⅱ)、諸外国から示唆を得る(研究Ⅲ)。これによって、社会的養護を補完するためのオルタナティヴなケアモデルを提案することを目指す。 研究Ⅰでは、子ども時代に逆境的体験をした者に対する生活史調査による縦断的質的研究をさらに実施する。子どもの視点からみた逆境的体験とそのサバイバル・ストラテジーに関するin-depthなデータを収集することを目指し、子ども時代に逆境的体験をしながらも社会的養護による支援(社会的支援)を得ず、生活を維持した者を対象に半構造化面接形式による縦断的生活史調査の実施を行う。コロナウイルス感染拡大防止に努めつつ、可能な範囲で実施していく。研究の過程で析出された、インターセクショナリティ(交差性)の概念を用いて、さらに分析を深める 研究Ⅱでは、国内におけるGood Practiceの収集を行う。社会的養護の外側にいる子どもを支援する民間団体のGood Practiceを集める。現地視察および聞き取りによる現地調査を実施し、研究Ⅰで得た経験知に対して社会福祉学的な考察を行う。ZOOMを活用し、多様な支援機関へアクセスすることを試みる。 研究Ⅲでは、諸外国における制度政策の分析による制度比較研究を行う。家族規範や社会的養護の仕組みが異なる取り組みから日本への示唆を得ることにより、日本における限界と課題を明らかにする。ただし、研究の対象を、オンライン調査が実施可能な、韓国へと変更し、韓国における家族規範・異性愛規範の影響と比較しながら、分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大により、インタビュー調査実施が困難となったため、予定していた旅費、謝金の執行に宛てられなかったため。
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