2021 Fiscal Year Research-status Report
A study on the effectiveness of psychological support for family caregivers supporting the elderly with dementia
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20K13769
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Research Institution | Asahikawa University |
Principal Investigator |
任 賢宰 旭川大学, 保健福祉学部, 准教授 (50827954)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症の人 / 家族介護者 / 介護の過程 / 心理的支援 / 小規模多機能型居宅介護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知症の人を支える家族介護者への心理的側面を含む公的支援システムの基盤構築を図るための基礎研究で、令和3年度は先行研究(任2016)を踏まえて「認知症の人を支える家族介護者の介護サービス、とりわけ小規模多機能型居宅介護(以下、小多機)の利用状況に対する把握及び介護過程における心理的変容と親密性、共依存の関係を分析的に図式化」を目的とする。 この目的を達成するために、令和3年度は、認知症の人を支える家族介護者の当事者組織である「公益社団法人認知症の人と家族の会」の全国47都道府県支部の会員10,841名(2020年3月末現在)を対象に郵送調査を計画した。しかし、調査対象の「公益社団法人認知症の人と家族の会」による倫理審査や日程の調整に想定より時間がかかり、調査研究は見送られて令和4年度に実施予定である。 そこで、文献研究とともに専門職の客観的観点から行った「小多機における認知症の人を支える家族介護者の心理的支援の有効性」に関するインタビュー調査について丁寧に分析を行った。 その結果、文献研究では小多機の機能や役割の重要性は認識されているものの、認知度が低く、情報提供や地域、地域住民に向けた周知がより求められていた。また、小多機は他の在宅サービスと比べて緊急時の利用が可能で臨機応変な対応ができることと、いつでも支援を求めることが可能な接近性が容易であること、利用者のニーズによってサービスを組み合わせることができること、認知症の人本人と家族が必要な時に専門職から相談できる体制になっていること、看取りを支えることで人生の最期まで安心して住み慣れた地域で生活することができて、心理的安定にもつながっていたことについて、その結果を学術論文として発表した(厚生の指標、2021:19-25)。 上記以外の研究成果についても論文投稿をして査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、認知症の人を支える家族介護者への心理的側面を含む公的支援システムの基盤構築を図るための基礎調査として、①小多機における心理的側面を含む支援の取り組みを深層的に把握と、②介護サービスとりわけ、小多機サービスの利用状況の把握及び介護の過程における心理的変容と親密性と共依存の関係性を分析的に図式化すること、③①②の結果をもとに小多機における家族介護者への心理的側面を含む支援の有効性を検証することを目的としている。 そのために、令和2年度は小多機の専門職を対象とするインタビュー調査と文献研究を計画し、令和3年度は認知症の人を支える家族介護者の当事者組織である「公益社団法人認知症の人と家族の会」の会員である家族介護者を対象に郵送調査を計画した。しかし、前年度より増して新型コロナウィルスの新株出現や移動制限とともに、調査対象である「公益社団法人認知症の人と家族の会」との調整の遅れによって実際の調査研究は見送られている状況である。 そこで令和4年度には、「小多機における心理的側面を含む支援の取り組みを深層的に把握」するために、小多機の専門職を対象とするインタビュー調査について電話や書面を利用して再依頼(対面およびオンライン)して日程調整を行い、7月から9月にわたってインタビュー調査を実施する予定である。 また、認知症の人を支える家族介護者の当事者組織である「公益社団法人認知症の人と家族の会」の代表並びに研究委員会による倫理的審査および調査日程の調整を行い、10月から11月にわたってアンケート調査を行う予定である。 さらに、アンケート調査からインタビュー調査の承諾が得られた家族介護者について「②介護サービスとりわけ、小多機サービスの利用状況の把握及び介護の過程における心理的変容と親密性と共依存の関係性を分析的に図式化―その2」を図るためにインタビュー調査を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するために本年度は、遅れている調査研究について対面の調査や当初の調査項目等にこだわらず、調査方法に工夫して実施する。 まず、「①小多機における心理的側面を含む支援の取り組みを深層的に把握」するために、先行研究において質的研究への承諾が得られた事業所の専門職を対象にインタビュー調査を行う。先行研究では、都市部か地方部か、あるいは単独型か併設型かによって支援の取り組み方が異なっている。そこで、都市部と地方部の単独型14か所及び併設型14か所の28か所についてインタビュー調査(対面およびオンラインによる)を行い、小多機における心理的側面を含む支援の取り組みを深層的に把握する。 次に、「②介護サービスとりわけ、小多機サービスの利用状況の把握及び介護の過程における心理的変容と親密性と共依存の関係性を分析的に図式化―その1およびその2」を図るために、ⅰ)認知症の人を支える家族介護者の当事者組織である、「公益社団法人認知症の人と家族の会」の会員の家族介護者を対象に、郵送調査による量的研究を行い、認知症の人を支える家族介護者への心理的側面を含む支援の有効性を検証し図式化につなげる。ⅱ)アンケート調査からインタビュー調査の承諾が得られた家族介護者についてインタビュー調査を実施する。これらの研究の成果については学会発表及び論文投稿を用いて報告する。
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Causes of Carryover |
本研究の目的を達成するために令和2年度は、小多機の専門職を対象とするインタビュー調査と文献研究を計画し、令和3年度は認知症の人を支える家族介護者の当事者組織である「公益社団法人認知症の人と家族の会」の会員である家族介護者を対象に郵送調査を計画した。しかし、前年度より増して新型コロナウィルスの新株出現や移動制限とともに、調査対象である「公益社団法人認知症の人と家族の会」との調整の遅れによって実際の調査研究は見送られ、次年度の使用額が生じることになった。 令和4年度は、「①小多機における心理的側面を含む支援の取り組みを深層的に把握」するために、先行研究において質的研究への承諾が得られた事業所の専門職を対象にインタビュー調査(対面およびオンラインによる)を行う。 また、「②介護サービスとりわけ、小多機サービスの利用状況の把握及び介護の過程における心理的変容と親密性と共依存の関係性を分析的に図式化―その1およびその2」を図るために、ⅰ)認知症の人を支える家族介護者の当事者組織である、「公益社団法人認知症の人と家族の会」の会員の家族介護者を対象に、郵送によるアンケート調査を実施する。さらに、ⅱ)アンケート調査からインタビュー調査の承諾が得られた家族介護者についてインタビュー調査を試みる。
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