2023 Fiscal Year Annual Research Report
フローモデルに基づく高齢者生活支援の為の評価・支援システムの開発
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20K13771
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
安永 雅美 学校法人文京学院 文京学院大学, 保健医療技術学部, 准教授 (70458553)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フローモデル / 生活の質 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、高齢者の健康的な楽しい生活と社会参加を促す支援ツールとしてフローモデルを活用できると考えた。フローモデルでは、挑戦感と技能という観点から活動中の感情状態をとらえ、本人にとってよりよい経験となるように調整することができる。例えば、ある高齢者が家族分の洗濯を担っていてストレスを感じている場合、洗濯物を小分けにする、洗濯工程の一部を家族に分担してもらう等の工夫が考えられる。このように共に暮らす家族は活動の調整に重要な役割をもつ。生活中の様々な活動について相手がどう感じているか推測できれば生活もしやすく、困難ならば、互いに相手の気持ちをよく聞くことが必要と考えた。 まず家族の最小単位である夫婦関係に着目し、現状を調査した。その結果、夫婦16ペアの160活動において、感情状態を正しく推測できたのは25.6%であった。介護保険関連施設(デイケア)の職員が利用者の活動中の感情状態を正しく推測できたのは24%との報告がある。共に生活をしている夫婦は、対人援助職として訓練を受けているデイケア職員同様に他者の感情状態を推測できていた。また、利用者の生活の場で支援を行う訪問リハビリテーション担当者が利用者の感情状態を推測した場合45.9%正しく推測できていたとの報告がある。場と時間を共有することで他者の感情状態を推測しやすくなると考えられる。しかし、共に生活する夫婦間でも正しく推測できるのは活動中の3割未満、生活の場でサービスを提供する対人援助職でも5割未満と、他者の感情状態を推測することは難しいことがわかった。 高齢者の生活を支援する際には、本人がどう感じているかを念頭におき、家族も含め支援することが重要と考える。今後は、フローモデルを基にした生活評価・支援ツールを本人家族相互のことを知る情報源として利用し、生活の質の向上に役立つ取り組みを行いたいと考えている。
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