2023 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティカフェが高齢者の社会的孤立防止に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
20K13778
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山本 美香 東洋大学, 福祉社会デザイン学部, 教授 (80383363)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的孤立の解消 / ソーシャルキャピタル / 多世代交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、ボランティアとして学生が、コミュニティカフェに参加することで、学生および参加者にどのような行動変容があるかを調査研究した。コミュニティカフェ開設当初は、大学生のみの参加であったが、その後、高校生も参加するようになった。高校生は主な参加者である高齢者との交流にも積極的であり、多世代交流が活発化する様子が見られた。若年世代がボランティアとして関与することで、新たな参加者(特に男性高齢者)も定着するようになり、異世代参加の効果が見られた。さらに、コミュニティカフェでの活動を通して、高齢者の実態を理解した高校生からは、団地内の引きこもりがちな高齢者へのアプローチを行うための新たなプロジェクトを開発するなどの取り組みが行われた。高校生の呼びかけによって、新たな大学生の参加も呼び込むことが可能となり、運営側の拡大にもつながった。若年世代の主体的な行動は、同年代の新たな担い手を開拓することにも繋がっていくことがわかった。本研究全体では、コミュニティカフェが、参加者・運営者・ボランティアにそれぞれどのような影響を及ぼすものであるかについて研究を行った。結果として、以下の3点が明らかになった。①参加者は、コミュニティカフェに参加することによって、同年代や異世代での交流を行うことで精神的な安定をもたらしていることが明らかになった。②運営者側にとっても、コミュニティカフェを通して、団地内でのソーシャルキャピタルの拡大が図れることがわかった。さらに「地域貢献」の意識も醸成できていた。その一方で、自己犠牲の一面があること、地縁団体である自治会が主体であることの困難さがあることも明確になった。③ボランティアとして学生が参加したが、多世代交流が活発になったこと、さらに別の地域活動開発を創出する学生も現れるなど、直接交流の機会を持つことで、新たな活動へと展開していくことがわかった。
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