2023 Fiscal Year Research-status Report
経験サンプリング法による、援助要請の支援を目的とした「イシューセリング」の解明
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20K13782
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
石川 勝彦 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (30714779)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 援助要請 / 専門家評価 / 理論的飽和 |
Outline of Annual Research Achievements |
援助要請方略の尺度をブラッシュアップするため,以下の2点の調査を行った。①有子就業女性に対する自由記述質問を中心とした大規模調査による援助要請方略の再取集(1000名),②子育て支援を専門とする医療職,心理職を対象としたCV調査(content validity)による,援助要請方略の有効性に関する専門家評価(123名)。①の結果,過年度に行った質的調査の結果に追加すべき方略が新たに追加され,尺度項目の改善について理論的飽和を実現した感触を得た。②について,多くの家族を対象に子育て支援を長年経験した専門家は,「困難を訴える」といった方略ではなく,「支援の必要性,必要である理由の客観的合理的な説明」が有効であるとの見解を有することが明らかになった。 さらに,援助要請回避を乗り越える際に有効な認知的情動的な要因を準実験的に検討するリサーチを追加的に実施した。具体的には,自己と他者に向けた社会性を望ましい状態に改善することが繰り返し確証されている(e.g. Piff et al., 2015),畏敬の念(sense ofawe)の効果を検討した。検討の結果,畏敬の念の感得は援助要請回避の傾向を強めることが示唆された。この傾向が,自己の問題を深刻なものと評価する認知を低減した結果生じたもの,問題を感情に深刻視する傾向の解消に由来するものであるなら適応的なバイアスであると判断できるが,そうではなく,単に自己と自己の問題を軽視する認知であるなら適応上の課題とみなす必要がある。今後は内的な状態変化を詳細に検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年目の計画として企画されていた経験サンプリング法による生態学的調査を概ね終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果のまとめと発信に向けた研究活動を中心に研究を進めることとする。
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Causes of Carryover |
量的調査に係る被験者リクルートに予想以上の時間を要したため,調査の一部を翌年に実施することとした。加えて,研究成果の社会への公表に係る費用として支出を計画するものである。
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