2021 Fiscal Year Research-status Report
A Conceptual Study on The Symbiosis of Multi Generational House Sharing in Japan
Project/Area Number |
20K13786
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
川崎 一平 京都橘大学, 健康科学部, 助教C (20848725)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 異世代ホームシェア / 地域共生 / 多世代交流 / フィールドワーク / 認知症 / エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、異なる世代が同居しお互いがメリットを創出し合う「異世代ホームシェア」に焦点を当てる。世界ではフランスやドイツで先行して行われてる異世代 ホームシェアだが、日本では東京・福井・京都などの都市で実践されており、中でも京都は国内初となる官民共同で異世代ホームシェアを推進する「京都ソリ デール事業」に取り組んでいる(ソリデールはフランス語で"連帯"を意味する)。 2年目にあたる本年は、引き続き現場データの収集と分析、論文執筆に臨んだ。異世代ホームシェアは、高齢者にとって不労所得を獲得したり、学生が低廉な家賃で住むことができるなど、実利的なメリットが重要と思われがちだが、実際には、高齢者が若者を育むという役割を獲得したり、学生の新しい学びにつながったりと、当事者たちに様々なインパクトを与えることが明らかになった。これらの結果について、「日本の異世代ホームシェアの実態とそれぞれの世代に与える影響」という題目のもと、然るべき学会誌に投稿した(査読中)。また、2021年9月には京都府とともに、第3回日本ホームシェア会議を開催した。会の中ではフランスのパリソリデールの所属する方を講師として招き(オンライン)、フランス国内の異世代ホームシェアの取り組みについて講演していただいた。その他会議の中では、同居事例の紹介や異世代ホームシェアの普及・発展のためのディスカッションを幅広く行った。 次年度はこれまでの成果を学会発表や論文執筆を通して対外に発信していくことに重点をおき研究活動を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、当初は予定していたフィールドワークを行えなかった。しかし、遠隔会議ツール(Zoom)を用いて異世代ホームシェアの当事者たちへインタビューを行い、データを収集することができた。インタビューではベーシックな異世代同居を行っている当事者たちの話が聴取できたことに加えて、認知症介護を 実践している世帯に若者が入り込んでいる事例いついても聴取することができ(3例)、これは異世代ホームシェアが認知症介護現場へ与える影響として新規的な課題を発見できたと考えられる。また、2021年9月に開催した日本ホームシェア会議は、先進的な国の取り組みを紹介し、国内の事業関係者および当事者たちと議論する場として非常に有意義であった。その他の成果として、執筆した論文を学会誌に投稿した(査読中)。以上により、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は新型コロナウィルスの流行により、予定していた研究活動が制限された。特に2022年度は、アイルランドのダブリンで行われる異世代ホームシェアの国際会議への参加を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大のため開催が2023年度に延期となった。そのため、研究期間の1年延長を検討している。また、これまでの研究成果を対外に発信する機会をよりもちたいと考えている。事業関係のイベントでの発表や、学会発表および論文発表など積極的に行いたい。
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウィルス感染拡大のため、研究活動が制限された。本年は感染状況を鑑みながら現地調査を行っていきたいと考えている。よって感染対策物品をはじめ、その他インタビュー謝礼や逐語録作成のための費用、研究に関連する物品やソフトウェアの購入、図書購入費、調査や発表に関する交通費などに使用する予定である。
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