2020 Fiscal Year Research-status Report
疑似的他者の存在によるおいしさと脳活動の変化についての研究
Project/Area Number |
20K13794
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
海和 美咲 相模女子大学, 栄養科学部, 助手 (00844200)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 共食 / おいしさ / 社会的促進 / 疑似的共食 / 脳活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的に、だれかと一緒に食事をするとおいしいといわれるが、共食のどのような要因がおいしさに影響しているかは充分に解明されていない。本研究では、他者の存在とおいしさの関係に焦点を当て、おいしさの主観的評価と生理的指標から、他者との食事におけるおいしさ向上の要因を解明することを目的とする。 令和2年度は、予備実験段階として疑似的な相手に見られながらの食事でおいしさはどのように変化するかをまとめた。イラストの目を疑似的な共食相手とし、見られながら(開いた目)または見られていない(閉じた目)、2つの条件でスナック菓子を試食させると、両条件ともに共食相手として実際の人間は存在しないにもかかわらず、おいしさの評価が変化することが分かった。実在するヒト以外で、おいしさを向上させる他者になり得るものを検証することが目的の1つであったが、実験結果よりイラストの目が疑似的な共食相手となり得ることが分かった。この結果から、イラストなどの人間を想起させるイメージが疑似的な他者として利用できる可能性があり、次の実験における共食相手を決定する手がかりとなった。 これまでの研究で、共食には様々な効果が報告されている。その中でも、食品をおいしく感じ摂取量が増えることを利用することは、ひとりでもおいしく食事をすることや食事の質の向上に役立つと考えられる。また、どのような情報が味に影響を及ぼすかが分かれば、食品産業等への応用の可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の目的である、実在するヒト以外で疑似的な共食相手を検証することができた。 しかし、おいしさの評価と脳活動の関係を検証することはできておらず、本研究の全体の目的を鑑みると、研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
疑似的な共食相手をさらに検討し、その相手との食事でおいしさの変化を検証する。 また、食事中の脳活動を測定し疑似的な相手との食事がどのように影響を及ぼすかをモニタリングする予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、研究場所への移動が困難になり、実験を進めることが困難であった。そのため機器等の購入が生じなかった。また、旅費を計上していたが、学会等がオンラインや誌上での開催となり宿泊費や交通費等の支出が生じなかった。 今後、実験や学会への参加を積極的に行うため、次年度に当該年度の使用予定であった費用を充てる予定である。物品費28万円はそのまま次年度に繰り越し、旅費9万円はその他(雑誌へ投稿するための費用等)に変更予定である。
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