2020 Fiscal Year Research-status Report
Utilization of food-grade microgel particles for the design of health-beneficial breads and noodles
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20K13797
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 統也 京都大学, 農学研究科, 特定助教 (90847261)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミクロゲル / 麺 / パン / 食感 / 多糖類 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微小なゲル粒子であるミクロゲルを、小麦生地に添加した際の影響について明らかにすることを目的として、研究代表者が京都大学大学院において、以下のような検討を行った。 初年度は寒天や卵白などのゲル化素材を用いたミクロゲル作製方法の確立、および作製したミクロゲルの物理化学的特性評価や構造観察を進めた。その結果、マクロなゲルの微細化時に真空ミキサーを使用することで、小麦粉と混合する際に影響し得る気泡の発生を、最小限に抑えることに成功した。また、真空ミキサーにより粗く破砕したゲル粒子をさらに微細化する際に、高速ブレンダーや高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーなど種々の微細化装置を組み合わせること、あるいはその出力を調整することにより、それぞれの素材を用いた場合に、ミクロン径~サブミクロン径の様々なサイズ分布をもつ粒子を作製することに成功した。cryo-SEMによる微細構造観察の結果、高圧微細化を行ったタンパク質ミクロゲルは、球状粒子であることが明らかとなった。また、用いた素材によって、ミクロゲル粒子の分散性(凝集の有無など)が異なることが明らかとなり、小麦粉生地に加えた場合にも、ミクロゲルの材料となった素材による違いが大きく生じることが予想された。 続いて、家庭用および業務用の製麺機を用い、麺の作製方法について検討を進めるとともに、得られた麺をゆでたゆで麺の物性を測定する方法について検討を行った。その結果、家庭用製麺機を用いた場合には麺が非常に切れやすく、再現良くサンプルの作製を行うためには業務用の製麺機を用いる必要があることが分かった。また、ゆで麺の物性測定を行った結果、時間経過に伴う破断強度の変化を追うことが可能であった。今後は、この評価系においてミクロゲル添加効果の体系的解析を進めるとともに、ホームベーカリーを用いたパンの評価系の確立を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミクロゲルの作製方法の確立については当初の予定通り順調に進んだものの、小スケールの家庭用製麺機を用いた場合に再現良くサンプルを作製することが困難であった。スケールアップした系での作製方法の確立に時間を要し、当初予定していたパンの作製条件の確立およびミクロゲル添加の体系的な検討にまでは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
麺の製麺方法については概ね確立されたため、当初の計画通り、種々のミクロゲル添加と物性の関連について引き続き検討を進めるとともに、構造観察などによる、ミクロゲル添加効果の要因探索を行う。 パンについては、研究協力者の助力が得られることが決まった。ホームベーカリーを用いた大スケールでのミクロゲル添加効果の食感への影響の評価と、構造観察や焼成前の生地物性評価といった物性評価について並行して進め、研究計画の遅れを取り戻すとともに、ミクロゲル添加効果の要因探索を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は、実験室への入室や機器の使用に制限がかかる時期が多く、予定していたエフォートは確保したものの、実験に充てられる時間が減少し、研究計画が遅れ、高額な実験装置を購入するに至らなかった。また、業務用の製麺機についても、条件検討のために物品を一時的に借りて使用していた。そのため、次年度使用額が大幅に生じた。次年度は、より効率的に研究計画を進めるために、購入を検討していた業務用の製麺機の導入や、解析のための実験装置の購入を行う予定であり、研究計画全体としての使用計画には大きな変更は生じない。
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