2022 Fiscal Year Annual Research Report
Utilization of food-grade microgel particles for the design of health-beneficial breads and noodles
Project/Area Number |
20K13797
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
石井 統也 香川大学, 農学部, 助教 (90847261)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ミクロゲル / 多糖類 / テクスチャー / パン / 麺 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、多糖類やタンパク質をミクロなゲル粒子(ミクロゲル)へと加工することにより、油滴や気泡の安定化といった機能を示すことが明らかとされてきた。しかし、比較的水分の少ないパンや麺のような食品中での機能は明らかでない。本研究では、ミクロゲルへと加工した多糖類やタンパク質をパンや麺に添加することにより、これらの食品のおいしさの要である食感がどのように変化するのかを明らかにするとともに、低糖質またはグルテンフリーといった付加価値を有しつつ、かつ食感の優れた高品質なパンや麺の開発に資する基礎的知見を蓄積することを目的とした。 小麦粉に水を加えて混捏する際の生地形成挙動を解析した結果、粉末の状態の多糖類をあらかじめ小麦粉に混ぜた場合には、多糖類の濃度に応じて生地形成挙動が変化したが、これに対してミクロゲルを添加した場合には、濃度依存的に変化が生じる傾向はほぼみられなかった。このような傾向が得られたのは、ミクロゲルとなった多糖類は、すでに十分に水和した状態であることが一因であると考えられた。ミクロゲルを添加したパンの焼成を試みた結果、焼成したパンの重量および体積、パン断面の構造やテクスチャーには、ミクロゲルを添加していないものと比較して、顕著な違いはなかった。また、ミクロゲルを添加した生地から麺を調製し、破断試験を行ったものの、同様に顕著な違いは見られなかった。以上の結果より、比較的少量のミクロゲルを添加しても、生地調製時のグルテン形成、ひいては、最終的なパンや麺の構造にも大きな影響はないと推測された。これらの検討により、ミクロゲル化の活用により、食感には大きな影響を与えることなく、タンパク質や多糖類の添加をすることが出来る可能性が示唆された。
|