2020 Fiscal Year Research-status Report
食事性酸塩基負荷(PRAL)に着目した高尿酸血症に対する食事療法の構築
Project/Area Number |
20K13802
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
川上 由香 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (10823924)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 尿酸 / 食事性酸塩基負荷 / ミネラル / 24時間蓄尿 / 実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
高尿酸血症は、腎機能障害や心血管疾患の原因となる。食の欧米化(動物性たんぱく質・脂質の過剰摂取、微量栄養素欠乏)により生じる食事の酸性化が、尿酸排泄量の低下に関連していることが報告されている。食事性酸塩基負荷の指標であるPRALを用いることで、食品のミネラル組成から尿への酸排泄量を推定できる。食事中の糖脂質比率やその組成がミネラルの吸収率に影響を与える可能性があるが、PRAL値だけではなく栄養素組成の違いが酸排泄量に対してどのような影響を及ぼすのかは不明である。そこで、本研究では、PRAL値や栄養素組成の異なる食事摂取が尿酸代謝動態および酸排泄量に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。本大学倫理委員会の指針に基づき、試験参加に同意を得た20代~50代の男女20名を対象として、5日間の食事介入試験を行い、試験前後において空腹時採血および24時間蓄尿を実施した。また、試験6日目には、尿酸クリアランス試験(60分法)を実施した。本年度は、魚介類を主菜とした野菜量の異なる2種類(100g/日または350g以上/日)を試験食とし、クロスオーバー試験にて実施した。その結果、試験前後において、両群ともに血清尿酸値の有意な上昇がみられたが、野菜量が多い群では、試験後において、24時間尿中尿酸排泄量が有意に高値を示した。また、尿pHは、介入後に野菜量が少ない群で有意に低下し、野菜量が多い群に比して介入後に有意に低値を示した。これらのことから、野菜の十分量摂取(PRAL値の低下)により、尿酸排泄量の増加、尿pHの酸性化の予防につながると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は20代~50代の男女約20名を対象に、ヒト試験(4クール/人)を完遂する予定であった。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、試験開始時期が遅れたこと、感染防止対策(一度に実施する対象者数の制限等)を講じながらの試験実施となったため、今年度は4クールのうち2クールのみの実施にとどまった。そのため、次年度以降、引き続き試験を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
健常者において、魚介類を主菜とした献立に野菜を十分量摂取(PRAL値の低下)することで、尿酸排泄量の増加、尿pHの酸性化の予防につながることが示唆された。しかしながら、肉類を主菜とした献立について、同様の検討が実施できておらず、栄養素組成の違いが尿酸代謝動態にどのような影響を及ぼすのか評価できていないため、次年度に引き続きヒト試験を継続する。また、対象者特性や様々な食事組成による影響を十分には精査できていないため、次年度以降に実施する。
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