2022 Fiscal Year Annual Research Report
食事性酸塩基負荷(PRAL)に着目した高尿酸血症に対する食事療法の構築
Project/Area Number |
20K13802
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
篠田 由香 (川上由香) 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (10823924)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食事性酸塩基負荷 / 尿酸 / ミネラル / 24時間蓄尿 / 実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
高尿酸血症は、腎機能障害や心血管疾患の原因となる。食の欧米化(動物性たんぱく質・脂質の過剰摂取、微量栄養素欠乏)により生じる食事の酸性化が、尿酸排泄量の低下に関連していることが報告されている。食事性酸塩基負荷の指標であるPRALを用いることで、食品のミネラル組成から尿への酸排泄量を推定できる。食事中の糖脂質比率やその組成がミネラルの吸収率に影響を与える可能性があるが、PRAL値だけではなく栄養素組成の違いが酸排泄量に対してどのような影響を及ぼすのかは不明である。そこで、本研究は、PRAL値や栄養素組成の異なる食事摂取が尿酸代謝動態および酸排泄量、代謝性危険因子に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、実施した。初年度および2年目において、健康な成人を対象に、魚(F)または肉(M)を主菜とした栄養成分が同程度の食事に、野菜量約100 g/日または350 g/日以上を組み合わせた計4種類(F, F+野菜 (FV), M, M+野菜 (MV))の食事介入試験を行い、試験前後において空腹時採血および24時間蓄尿を実施した。その結果、十分量の野菜摂取により、尿中尿酸排泄量の増加、尿pHの酸性化の予防につながることが考えられた。一方で、すべての群で血清尿酸値の有意な上昇がみられたため、尿酸単独か、他の代謝指標の悪化との共存が生体に悪影響を及ぼすのか評価するために、糖・脂質代謝関連指標等の変化についても評価した。その結果、十分量の野菜の付加により、魚および肉どちらを主菜にした場合においても血清脂質に改善がみられること、特に魚を主菜とした場合には血糖値にも改善がみられることが示された。現在、食事摂取による血清尿酸値の上昇が、単独で生体に悪影響を及ぼすのか、その他の代謝指標の悪化との共存下において生体に悪影響を及ぼすかについて詳細に検討するため、細胞実験による評価もあわせて取り組んでいる。
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