2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13803
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
横田 尚美 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (40751409)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 仕事着 / 民俗服飾 / つぎはぎ / ボロ / リユース / サスティナブル / 衣生活 / 女性の暮らし |
Outline of Annual Research Achievements |
衣生活資料を所蔵する家に基礎疾患を持つ老人が住んでおり、衣生活資料の調査を進めることができなかった。しかし、蔵から見つかった新たな衣生活資料の運び出しや整理は行った。またコロナの状況が比較的良い時に、衣生活について聞書き調査を少し行えた。素材の専門家に、一部、織組織の調査をお願いした。これまで見つかった資料のデータベース化の作業は、途中まで進めた。保存状態が良好とは言えないため、中性紙の保存箱をとりあえず5箱用意したが、これに資料を移し替えることもできなかった。地域の公開活動も中止となった。 この衣生活資料の研究の一部については、日本民俗学会の年会(オンライン)で報告した。他の服飾関係などの学会は中止になってしまった。 しかし、この研究の最終目的に展覧会の開催をあげていたが、期せずして滋賀県内の近隣の愛荘町の博物館において、急遽、仕事着の展覧会が開催されることとなった。そのきっかけが本資料の存在であり、出展品の多くが本衣生活資料から選ばれたため、企画から貸出作業、展示、解説書、撤収と参画することができた。展覧会に関わる印刷物のデザインにも関わることができた。展覧会の意義について、地元の有線放送の取材も受けた。さらに、同展覧会に仕事着の意義を理解するために現代のデザイナーの作品を展示することになり、その企画から借りるための交渉、展示から返却と、解説書や解説パネルの執筆を担った。県内や関西圏では多く報道され、衣生活資料の認知に繋がった。本研究が目指している文化財登録のための一助となったと考える。県内の他の博物館の仕事着展では、本資料を含む県内の仕事着について講演した。 2021年9月刊行予定の国際日本文化研究センターの研究叢書の中で、この資料が用いられていた衣生活について紹介することができた(原稿提出済)。 他の地域の資料の調査に関しても、遠方まで出かけることができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ひとえに、コロナウィルスによる行動制限のためである。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、もしも可能であれば、研究課題名から具体的な地名を削除することをご許可願いたい。理由は、この地域が廃村荒らしにあっているからである。資料の所有者に同行した際に、実際に蔵が壊され、中が荒らされているのを目にした。廃村を荒らしてSNS上に写真を載せて自慢することが横行しているため、所有者が地名を明かすことを望んでいない。これは、申請の際には知らなかったことである。できれば、「滋賀県湖東の山村」などとしたい。余りに抽象的であれば、「滋賀県犬上郡」としたい。ご検討願えれば幸いである。 今後の研究の推進方策については、やはり今年度もコロナの影響がすでに出ており、今のところ、所有者の家に行くことができず、資料を調査することが全くできない。1点1点の調査、着用者の研究や他の地域での調査は、コロナの状況を見ながら、できることを進めていきたい。 他の研究者などに助言をいただくことも、コロナの状況によっては難しいと考えている。しかし県内の文化財に詳しい写真家から情報を得ることができており、文献調査によって県内の衣生活資料についてはまとめて行きたい。 韓国の学会がオンラインで行われ、参加を依頼されたため、ここで同資料について発表する。また2022年に滋賀県で植樹祭が開催されるが、この時に本衣生活資料が展示される予定のため、これに関わることになると考えている。 コロナの影響を考えると、町内での展覧会の開催や報告書の作成などは、可能となるとしても最終年度になるのではないかと予想される。
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Causes of Carryover |
学会発表については、コロナの影響で遠方に出張する機会はないかもしれないが、一応、予定をしておきたい。他の地域の衣生活資料の調査も、行ける範囲で行いたいと考えている。 日文研の叢書のために写真使用料が発生する。今後も同様のことはあれば、写真使用料が発生する。データベース化のために、作業していただける状況になれば、作業をして頂きたい。 中性子保存箱に資料を移し替えることができるようになれば、その分量に応じて、新たに箱を発注したい。それに伴って、薄葉紙や防虫剤などが必要になる。
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Remarks |
滋賀県愛荘町立歴史文化博物館「つぎはぎの仕事着-暮らしが仕立てたデザインー」(2021.1.9~3.21)参画。地元有線放送のインタビューも受けた。滋賀県長浜市浅井歴史民俗資料館「身にまとう仕事着」展(2021.1.13~2.28)に関する歴史講座⑤「滋賀県の仕事着」の講師を務めた。
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