2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13803
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
横田 尚美 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (40751409)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 仕事着 / 民俗服飾 / つぎはぎ / ボロ / リユース / サスティナブル / 衣生活 / 女性の暮らし |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年6月4日に、滋賀県が会場となった全国植樹祭のプレイベントとして、本資料が展示されることとなり、学生や衣装展示に関わる専門家などとともに展示に関する作業をこの前後に行った。展示作品の選定、キャプション作成、展示方法の検討や資料を傷めないための展示作業、会場での説明、撤収、整理などである。また2023年2月には滋賀県立美術館で小規模の展覧会が行われ、その準備にも携わった。通常は、学生とともに、資料の調査を続けた。採寸、継はぎの調査などを行っている。9月1日に熊本大学で開催された日本民俗学会第4回年会で、「R家衣生活資料の活用と保存-滋賀県湖東山間部から見つかった資料について‐」を口頭発表した。複数の研究者に関心を持っていただくことができ、その反響として、神奈川大学日本常民文化研究所の『民具マンスリー』第55巻12号に寄稿を依頼され、本資料を紹介する機会を得た。そこでも、本資料の価値を広めることができた。 8月には、他地域の仕事着について知るために、神奈川大学日本常民文化研究所主催の「日本の布 東北地方を中心に」の連続講座を受講し、仕事着とその製法に関する知識を深めた。9月には、石川県の国指定の重要有形民俗文化財「白山麓の山村生産用具及び民家」の衣生活資料の全てを調査した。その他、淡路島のドンザや丹後の藤織の仕事着など他の地域の衣生活資料を調査することで、本資料の価値や特徴を知ることができた。 9月19日には、文化庁の調査官に本資料を見て頂く機会を得、そのための書類を作成し、実際に本資料を見て頂き、関心を持って頂くことができた。 以上のように、コロナの規制が徐々に少なくなってきたことで、前年までよりも多くの研究活動が行えたが、コロナの影響で全体的に計画よりも遅れている現状である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年同様に、コロナの影響もまだあった上、所有者の事情がさらに良くなくなり、所有者の家に行くことができず、色々と滞ることがあった。コロナの影響が続いていたために、整理と調査の遅れも取り戻せない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度が本研究の最終年度である。本来は、成果をまとめ、展覧会を行い、報告書を作成し、県の文化財申請をしたいと考えてきたが、コロナの影響と所有者の健康上の理由から、予定通りに調査研究が進まず、報告書を出せる段階には至らないではないかと考えている。しかし、今年度はコロナの影響が少ないと考えるので、少しでも多くの資料の調査を行い、何らかの形でまとめを行い、次年度以降につなげたい。 展覧会については、本研究の成果ではないが県内の博物館の企画によりすでに2021年に展覧会が開催され、また2023年2月にも県立美術館の一室での展示が実現し、これらに参画している。多くの民俗学・民具学関係者が購読している『民具マンスリー』にも本資料を紹介できた。 これらをきっかけに、今年度も何か展示の可能性があれば、積極的に関わっていきたい。 文化財の申請については、文化庁の調査官に本資料を見て頂いたこともあり、この研究の協力者などと相談しながら今後の保存については考えて行きたいが、それにはまず所有者との意思疎通が図れるようになることが前提となる。
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Causes of Carryover |
ほぼ使い切れたと考えていたが、交通費が丁度の額にならなかった。備品費などにプラスして使用する。
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