2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13803
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
横田 尚美 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (40751409)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 仕事着 / 民俗服飾 / つぎはぎ / ボロ / リユース / サスティナブル / 衣生活 / 女性の暮らし |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も、授業として当該資料の調査や整理を行ったが、11月になるまで所有者の健康状態が相変わらず良くなく、ほとんど連絡を取ることもできず、なかなか作業が思い通りに進まなかった。11月に急速に健康状態が良くなり、その後はやっと連絡が取りやすくなったが、すでに年度としては期間が残り少なかった。授業としては引き続き、採寸、当て継の状況の把握、写真撮影などを実施した。特に、今年度としては何重に継が当てられているかを確認する作業を行った。当て継の状況把握にためのビニールシートが予想外に高額なため、なかなか思ったように購入することができなかった。 5月27日に、日本家政学会第75回大会で、「着継がれた下衣を読むー滋賀県湖東山間部の衣生活資料からー」について、口頭発表を行った。本資料の中でも股引が、どれほど当て継されているかを詳細に調査した結果を報告した。現状では、もっとも多いもので9重にも継が当てられていた。改めて、衣類がいかに大切にされていたかについて実感した。 10月2日から奈良の帝塚山大学附属博物館開催の「のらぎー風土が育む日常のおしゃれー」展に、本資料の一部が展示されることになり、その借用のために9月に、この館の学芸員とともに所有者の元を訪ねた。これが、10カ月ぶりの所有者との再会だった。同展での関連講座を依頼され、この中でも本資料についても紹介した。 12回の連載を共同通信から依頼され、その中でも本資料を紹介した。12月から配信され、年明けから地方紙10紙ほどで連載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大きな理由は、コロナの流行である。授業を進めることも、所有者の家に行くこともしばらくの間、叶わなかった。 それに加え、所有者の健康状態が非常に悪くなったことがあった。これには、所有者の母親が亡くなったことが大きく、長い間、連絡が取れなくなってしまった。そのため、調査がストップしてしまった。 さらに、調査に使用するビニールシートが高額で、予想以上に出費がかさみ、一時、購入を中断して、素材探しをしていたという事情もある。
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Strategy for Future Research Activity |
できる限りの点数の資料の調査を行いたい。そして、それについて簡単なものでも良いので報告書を出したいという希望は変わっていない。ただし研究費が残り少ないので、今年度中は主に調査のために残りの研究費を使い、来年度に報告書を出したいと考えている。所有者の健康状態が悪くなると調査も中断してしまうため、所有者の健康を願うばかりである。
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Causes of Carryover |
諸事情から、この年度で研究を終えることができなくなり、補助事業の期間延長を申請し、受理されているため、この使用額が生じた。この金額で、調査のための備品類を主に購入する予定である。調査に進展があれば、報告書のための何らかの経費にも当てる可能性がある。
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