2020 Fiscal Year Research-status Report
ひとり親世帯の自立に向けた居住を中心とする支援モデルの研究
Project/Area Number |
20K13809
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
金指 有里佳 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (20861652)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 居住支援 / 住宅確保要配慮者 / 空き家 / 賃貸住宅 / ひとり親世帯 / 不動産会社 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我が国における昨今のひとり親世帯の深刻な経済状況や住まいのセーフティネットの限界から、ひとり親世帯の自立に向けた居住を中心とする支援モデルについて提案を行うものである。住居の確保の支援とその後の生活支援という継続的な支援が自立のために極めて重要であると考え、本研究では「住宅確保の支援」と「生活の支援」をあわせて「居住支援」と定義する。 初年度となる2020年度は、コロナ禍の影響もあり調査が進まない部分もあったが、可能な範囲で研究を遂行した。まず、東京都区部の一部をモデルケースとして、賃貸住宅の空き家・空き住戸の実態、及びそれらをひとり親世帯などの住宅確保要配慮者への居住支援に活用できる可能性を考察した。調査方法としては、賃貸住宅を所有または管理する不動産会社を対象に、アンケート調査およびヒアリング調査を実施した。結果は、住宅確保要配慮者に賃貸可能な空き家は多くないこと、またひとり親世帯に関しては居住支援としての賃貸の際に懸念点がほとんどないことが明らかとなった。一方で、特に高齢者や外国人の世帯に対しては不動産会社からみて居住支援としての賃貸の不安要素が非常に多いことも確認された。自治体が近年推進している居住支援施策に関しては、不動産会社にあまり浸透しておらず、施策の周知が求められるとともに、施策利用のインセンティブの不足やハードルが高いこと、福祉的な生活支援と不動産会社の繋がり方について検討すべきであることも確認された。また、文献調査として、最新のひとり親世帯、子どもの貧困、空き家施策についてデータをまとめた。予定していたフィールドワークはコロナ禍の影響により叶わなかったが、アンケートおよびヒアリング調査をとおして、まずはこのような住居を提供する側の課題が明らかとなり、意義のある研究を行えたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗がやや遅れた理由としては、コロナ禍による影響により、フィールドワークを行えず、代わりにアンケート調査およびヒアリング調査を実施することとし、その調整に時間がかかり、調査が当初の予定通りに進まなかったことが挙げられる。また、研究代表者自身の体調によっても、予定通りに進まなかった部分があったことが挙げられる。しかしながら、このような状況下でも研究成果は今年度の学会にて発表することを予定している。今年度は、昨年度の遅れを取り戻して研究に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響により、今年度も引き続きフィールドワーク等の予定を変更せざるを得ない部分があると想定される。したがって、なるべくアンケート調査、ヒアリング調査、文献調査に重点を置くなど、臨機応変に調査研究の手段を判断して研究を遂行する予定である。また、当初の計画には予定はなかったが、コロナ禍における母子世帯・父子世帯の居住に関するニーズや生活課題を探ることも重要と考えられることから、こうした社会状況下でどのような支援が求められているか、一方で支援を行う自治体やNPO法人等はどのような支援策を追加しているのかなど、当初の研究計画に観点を加え研究を遂行していきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、フィールドワーク等のために移動をして調査を実施することがなくweb上で調査を実施せざるを得なかったこと、また、学会大会が中止となり学会発表のための移動費がかからなかったことなどから、大きな額となる交通費や宿泊費が計上されなかったことが主に挙げられる。使用計画としては、昨年度行えなかった調査を今年度に延期して実施する際やコロナ禍をテーマとした追加調査を行う際に使用し、また論文投稿や学会発表を積極的に行っていく際などに使用する予定である。
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